今日は散歩に出ても不思議と空を見上げなかった。澄み切った空だと分かってたから、そこにある安心感からか確認をしなかったのかもしれない。どんぐりに夢中で下へ下へと目線がいく。子供達と一緒というのもあって自然とそうなる。逆に1人で歩いているときは上を向いて歩く。いつもは子供が走って行かないか注意しながら目線はそこばかりなので、そうだ、こんな景色があったと少しワクワクしながら歩みも軽やかになる。

今日はいつもよりたくさんの人とすれ違った。街が動き出した1日目。みんな色んなことを思って家路を急いでいる感じがした。私といえば自宅学習が思ったよりも大変で、気づけばあっという間に日が傾いていた。

「明日のかなこスクールは、お弁当とおやつ用意してね。朝制服に着替えるからね。」とやる気満々で次男がいう。三男を見ながら2人の勉強に付き合うのは思った以上に大変だったが、パワーポイントから流れる先生の声が次男を幼稚園の世界へと引っ張ってくれているようだった。

夕方になり、いつものことながら夕飯に悩んでいると、次男から素麺が食べたいと申し出があった。今日は旦那も夜勤でいないし簡単に済ませるかな。今晩は冷えそうだし早く寝よう。寒い日はスープがいい。明日の朝はスープを仕込もう。色々考えながらさっと食事が揃い、食べ始めたのだが、今日の食卓はとても静かだった。いつものあのお祭り騒ぎは何処へ行ったのだろう。麺を啜る音だけが部屋に響く。あれだけ静かに食べなさいと怒っているのにいざそうなると逆に心配になり、可笑しくてちょっと笑ってしまった。

そして急に三男が見て!と天井を指差した。ライトに照らされたみんなのお椀のスープが天井に映りゆらゆらと揺れていた。面白いねー。海みたいだね。キラキラの水面がクラゲみたいにふわふわしていた。

今日の空はどんな空だったんだろうか。天井を見上げながらふと思う。食後に出した苺が思ったよりも甘かった。三男が最後の一粒を私に渡してくれた。いいよ食べな?と言っても私に食べてほしそうにしている。じゃあ遠慮なくと口に入れると、三男はちょっと照れながら満遍の笑みを浮かべていたのだった。