いつから集まるようになって、いつ最後に集まったか分からない
なんとなく人集めて、実家の車でいつもの生活圏内から離れた場所まで
そんな日々が存在した
当時、恋人との距離はどんどん遠くなっていて
社会人と学生
お金の問題
まだ若すぎた私は相手が静かに募らせていた不満に気づくことができなかった
振り返ってみれば
「6ヶ月で冷める」なんて口にしてしまう
くだらない人間だったなあと思うが、
私は若かったのだ
集まった人たちの中に忘れられない存在がいる
彼女は美しかった
頭ひとつ分背が高く、すらっとした手足と唯一無二の顔立ち、私にとって彼女は憧れそのものだった
なぜ彼女と同じ車に乗っていたか、もう思い出せない
最後に会ったのは美しい袴姿の彼女だったと思う
勝手に一目置いていた彼女は、これくらい寒い冬のある日、恋人に何か買おうとする私の様子を見て、
静かに私を見つめながら
「本当にいいの?」と問いかけた
「相手があなたを大切にしてくれないならあなたも相手を大切にする必要はないんじゃない?」
上手く思い出せないが、真剣な眼差しで私にそんなことを訴えたのを覚えている
周囲が肯定している中で、対照的な面持ちで問いかけた光景が目に浮かぶ
結局その数週間後、関係は終わりを迎えた
流されず、自分の意見をいう彼女も
それが私を思い遣って出た言葉であるということも
軽く出た言葉でも
私にとっては忘れられない思い出だ
私は彼女にはなれないが、彼女のようになりたい