鶯谷のマクドナルドにいた女の首筋には痛いほどのキスマークがあった


あからさまなキスマークが頭から離れない


体を重ねて朝一番で風呂に入ったあと、安いファストフード店に入るあの幸せ



どれだけお金を稼いでもきっとこの幸せに勝るものはない気がする



彼女たちもそうなのだろうか



ラブホテルの代名詞とも言える鶯谷で、10代に見える(もしくは本当に10代の)瑞々しい首筋に映えた夜の証はアンバランスで不気味だった



ラブホテル街に彷徨うさまざまな男女の隙間を通って帰宅する孤独な人々も


暗闇でも目立つ派手な髪色をした風俗嬢も


朝死んだようにスーツを着て早々と歩くサラリーマンも


キスマークをつけた彼女らも


動物らしくて愛おしい



マクドナルドを頬張る私は見えないところにキスマークを隠して


なんともないように鶯谷を出て、上野駅を放浪した