クリスマス

日本には本来馴染みのない文化が企業のマーケティングによって反映した

恋人で過ごすことが当たり前となったこの行事の裏

女子トイレには1ミリ単位で前髪を直す女たち

街中は神々しいイルミネーションと共に、若者の染めたての髪の毛が煌びやかに輝いている

クリスマス前日にはセール品となっている商品に嫌な感じと、矛盾を感じたのは私だけだろうか

幼稚園の頃、見上げると天まで届くようなクリスマスツリーの大きさに圧倒された

小さな手いっぱいに広がるあたたかさ

ツリーの麓で配られるコーンスープはじんわりと心を温めた

クリスマスになるとあの頃を鮮明に思い出す

朝日に照らされた5千円そこらのプレゼントは、その後もらうどんなプレゼントよりも記憶に残っている

あの年のクリスマスは何をしていたのか

寒くなるとしきりにそんなことを考えるのは、幼い頃の絶対的なクリスマスと無意識に比較しているからか

「え〜クリスマス?なにもしないよ」
「クリスマスはバイトだ〜」
「そもそもクリスチャンじゃないし」

冷めた目でそんなことを言う周囲の人々に同調する気はさらさらない


誰かなんと言おうとクリスマスは私にとって特別なのだ



女子トイレに群がる女も
色とりどりの綺麗な髪色も
寒い中ふわふわとしたスカートを履く女も
ソワソワと脚をかけて待つ男も
皆ブランドの紙袋を待つ電車も


全部全部


ぎこちなくて最高に好きだ