君は言った

「正直そうだと思ってたよ」

誰なのか、どんな人間なのか、肩書きで人は私を判断する


偽った私に、尊敬の念を抱いた君は

それを壊した瞬間に

全てを悟ったかのように
分かったように

頷いたのである

1年もの間、競争社会の末端の箱で
下水道に群がる鼠のようにちみちみと手を動かしていた君は、既に十分なほどにこの社会の悪いところを小さくまとめて進学する準備が整っていた

学歴という壁に敗北した瞬間に
君のそれと私のそれは殆ど変わりないことを教えたかった

そこまで私は残酷でなかったようだ


私を見下した君の言動は1年間ドブと闘った様を自己防衛するようにも見えたからである


3ヶ月ほどして君は気付くだろう


競争が何の意味もないことを
あの下水道に耐えた1年が無意味なように感じることを

それまで私は黙秘を続けるのである

己の自己防衛のために