駅前のケーキ屋に行きたくなった
私が高校から帰る時間、少しでも遅くなるとあそこは閉まっていて、無機質なシャッターと綺麗な装飾が施された外観がアンバランスにそこに建っていた。
そのケーキ屋は、あの頃も今でも、いつも誰かの誕生日を外の看板で祝っている。
私が幼い頃、その看板を見ては「今日はどこかの〇〇ちゃんの誕生日だ」ときゃっきゃしてたのを私は鮮明に覚えている。
高校を卒業し、学校が遠くなると、私の生活は夜型に変貌し、終電帰りの生活が増えた。
疲れ果てた目にとまる、ほんの少しだけ錆びたシャッター。
私が変化するのと同時に、毎日締め続けられるシャッターも変化していた。
その事実はなんとも切なかった。
今日はあそこにケーキを食べに行こう
シャッターが締められる前に