今日立ち寄ったカフェに二人組のサラリーマンが入ってきた。

どうやら上司と部下のようだった。一人の席は椅子で、もう片方はソファだったのだが、部下のほうがさりげなく上司のあとについて「どうぞ」とソファ側の席を譲った。

社会人としては当然のことだが、私はその自然さとある種の潔さにドキッとした。
日本の社会人の神経質で細かな気配りは複雑に絡み合い、難解であるにも関わらず、彼はそれを自然と、そつなくこなしたのだ。


そんな華麗な姿は下手な高校生ドラマのヒロインの何万倍もかっこよく見えた。
しかし同時に、長年そこにいれば簡単にそれをこなしてしまう能力がつくロボット化された「一般常識」、「社会人としてのマナー」、「社会のルール」なるものには時に気持ち悪ささえ感じる。

臨機応変な態度が好まれる世の中と、規律を守り続ける態度が好まれる世の中が激しくぶつかり、やがて大きな波を起こして航海不能になりそうな、そんな矛盾した世の中で、私は今後「理想の」社会人の岐路を正しく舵をとって進むことはできるのだろうか。



だから私にとって社会人とは尊敬する対象であり、軽蔑する対象であり、警戒する対象であるのだ。