昔からなんとなく、夏が好きだ。
照りつけるような太陽とアジア独特の蒸し暑さは苦手だが、なんとなく、夏が好きだ。
小さな頃に行った東北の父の実家。ビニールハウスにある夏野菜といつも出てくる大人数用のオードブル、警戒心の強い雑種犬と、優しく静かに笑う祖母と厳格な祖父。
夏祭り。友達、先輩後輩、かつての先生など普段会わない知り合いに会える、いわば自然同窓会。蒸し暑い中、遠くで鳴るお囃子と子供の鳴き声、そして太鼓の音。聞こえてくる野太い掛け声、中高生の笑い声。
子供の頃から重ねてきた沢山の思い出の多くは夏の思い出だからかもしれない。
夏が近づくと、ハラハラする自分がいる。
きっと鬱陶しいくらい暑い日本の夏がなんだかんだ好きなのだ。