五月の雪の日の寓話 | 放浪ドライブラヂオ

五月の雪の日の寓話

橘河がゆっくり振り向いた。
顔には何の表情も浮かべずに。
あらかじめ全てを知らされていたような、
そんな落ち着き払った雰囲気を纏って。

お前は許されるべきではなかった。
泣いて許しを請うてはいけなかったのだ。
誰もがお前を不幸だと思っただろう。
不幸のどん底に突き落とされて、身動きできないのだと。
だが実際、あれはお前の比類無き愚行と、運の始まりだった。
お前は知らない振りを自分にもして、周りも騙し、
今、こうして罪を認めようとしない。
何度も言う。
お前は許されるべきではなかった。
あの時、少しでも何かがずれていたら、
私たちはこんな酷い状況には置かれていなかった。
許した私たちが悪いのか……