こんにちは。

 

先日は月1回開催している

児童書好きな人たちとの読書会でした。

 

 

 

11月の課題本は

エーリヒ・ケストナー作

高橋健二訳

『飛ぶ教室』

岩波書店

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ボクサー志望のマッツ,落下傘降下に挑むウリー,母親思いのマルチン,詩人ヨーニー……一人一人のそしてみんなの少年時代.雪降る中,高等中学対実業学校の決闘がはじまります.

(岩波書店HPより引用)

 

 

 

主人公の子供達は9年制の寄宿舎で学ぶ子供たち

 

ボクサー志望で食いしん坊、気は優しくて力持ちのマッツ

 

聡明でかつ画家志望のマルチン

 

臆病で小柄なウリー

 

お父さんに見捨てられるも縁有った船長さんのお世話になっている

詩人ヨーニー

 

 

その子その子が何かしらの問題を抱えているけれど

 

自分たちで問題を解決したり

 

周りの大人に助けられたり。

 

 

その描き方が道徳的な教材のようでもなく

 

自然と描かれている

 

 

この本に出てくる大人たちが素敵で

 

出てくる大人のうち2人以外は

 

子どもたちを愛していて

 

真摯に対応してくれる。

 

 

特に子どもたちと関わりの深い

 

子どもたちから尊敬の意味を込めて「正義先生」と呼ばれる

舎監のベク先生。

 

そして自然を愛する買い上げた車両で暮らしている「禁煙先生」。

 

子どもを一人の人として尊重し

子供扱いしない先生たちだと感じた。

 

 

 

クリスマス前夜、ほとんどの子供達が

親元に帰る中、

ある出来事が起こるのだけれど、

それにまつわるシーンが

なんともなんともたまらなくいい…。

 

 

 

 

 

『飛ぶ教室』は、1933年刊。
ヒトラーの独裁が進み、

ケストナーはじめ反ナチスの作家たちの本が

燃やされた直後に書かれた本。

 

 

ケストナーは

たとえ何が起こっても

「あきらめるな」と

ベク先生(正義先生)のように

温かく味方になってくれる。

他の作品でもそれが感じられる。

 

そう彼は子どもの味方なのだ。

 

 

 

 

 

 

他校の学生との決闘の場面があり

1人の子が相手校に捕まって

数分ごとに殴られたと書かれた場面があったのだけれど

 

 

「痛そう」と

言った読書会メンバーの言葉から

 

 

「今ではこんなことしないよね」と

話したその日の新聞には

シリアの内戦に関する記事が掲載されていた。

 

 

 

私たちの目の前にはなくとも

どこかではあるかもしれない

とか

そこから波及して

知ったり考えたり。

 

本から広がっていく。

 

 

 

 

読書会から広がる世界は

時にはなしが脱線することもあるけれど

本の世界から

外の世界へと

 

 

広がっていくことがあり

自分一人で読むときとはまた違う面白さがある。

 

 

 

メンバーの一人は

最初読書が苦手だと感じていたけれど

 

 

以前市立図書館で読書会があった頃

(今は無くなってしまった)

 

 

司書さんから

「途中までしか読めなくても読むことを続けなさい」

と励まされて

今に至ると言っていた。

 

今では読むことが楽しくなってきたとも言っていた。

 

 

 

 

 

児童書は子どもだけが読む本ではなく

 

 

大人が読んでも楽しめ、

心揺さぶられ、

自分の人生と重ねたり

何かしら考えてしまう。

 

 

 

ケストナーの『飛ぶ教室』はまさにそんな本。

 

名著だ。

 

 

 

 

岩波少年文庫は

訳者が池田香代子さん

 

 

今の子どもたちには

現代訳の池田さんの訳が読みやすいのかもしれないけれど

 

 

 

私はこの本に関しては

高橋さんの訳が

ケストナーの世界を崩さず見せてくれてるような

印象を持っているので

高橋さんのが好み。かな。

装丁も好み。

 

 

毎月の読書会が

本当に楽しい。