アカリン@とあるカップルの家族誕生小説執筆

 

 

 

オリジナルストーリー、人物の賀城修二と桃瀬里美の物語をひたすら掲載。

pixiv同様サンプル版を掲載していきます。

R18を含む、性欲強めカップルの物語。

大学生時代〜結婚〜妊娠、出産……国立大出身、両親のいない夫婦が家族をつくる。

以降連載中。

【5と0の付く日+気まぐれで更新中。毎月全6回+α更新。】 

《未来への足跡》 1〜17話 全体公開中

 

※Twitterにて支援者さま向け裏話や更新情報など呟いてます。

 

 

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里美28歳の誕生日。
間も無く始まる家族三人の生活を楽しみにしつつ、修二からの言葉はいずれ訪れるのであろう

『その日』に向けた里美への遺言だった。
《未来への足跡》この頃の話

 

 

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亮二が産まれて最初の里美の誕生日。

「俺が万が一戻らないことがあったら、亮二を頼むよ。
それから、時が来たら俺のことは気にせず幸せになって欲しい。」

そんな受け入れたくもない夫の頼みを心に閉じ込め、いずれは訪れるのであろう『その日』をどう迎えるのか、きっと何年経っても決心する事はできないだろう。

「二十八歳の誕生日おめでとう。」

二ヶ月前に初めての出産を終えまだまだ新米ママの里美は、こんな歳にもなって、そして迎えた年齢を付けての祝いの言葉に少々恥ずかしさを感じた。
『もう』なのか『まだ』なのか、二十八歳というこの年齢。
働き始めてからの人生、この五年間はあまりにも様々な事があった。
今朝は雪の予報だが、カーテンに閉ざされ外の様子はまだ分からずにいた。
まだお互いに裸同士だと思っていたが、修二一人だけが一糸纏わぬ姿でありどこか恥ずかしさを感じる。

「何でパジャマ着てんの?ずるいじゃん。」
「だって寒かったんだもん…」

隣で横になる里美に抱きつき、その身体を抱きしめ、時間が許すならば先だけでも挿れて祝福の一日の始まりを迎えたかったのだが、それはどうやらお預けとなりそうだ。

「雪、降ってるのかな…」
「どうだろな。降ってるなら俺も少し早めに家出ないと。」

二人のベッドにくっ付けた形で並べられたベビーベッドに子の姿はまだない。
数日後に退院予定の愛しの息子がそこで眠るのだ。

「退院の日、楽しみね。」
「亮二がいる生活ってどうなんだろうな。いよいよだな。」
「誕生日、二人きりで過ごすのは今年が最後よ。今夜はいっぱい愛し合いたい。早く帰って来てよね。」
「了解。」

カーテンを開ける。
結露を起こしたガラス窓を指先で擦ると大粒の雪が静かに降り続き、普段遠目に見えるはずのタワーマンション群も今日は雲にかき消されていた。

去年の今頃は流産から一年が経とうとしていた頃。
妊娠がわかり、結婚の話が出かかった所での流産だった。
それから間も無くして、再びの子作りを始めたがなかなか思うような結果が出なかった数ヶ月。
三ヶ月、半年しても授かることはなく、里美の生理不順は一度妊娠したことをきっかけに周期が整い始めていた。

「生理来ちゃった、ごめんね。」
「謝る事ないさ。ちゃんと来てるって事は可能性があるって事だろ?現に赤ちゃん、一度は来てくれたじゃないか。信じよう。」

結婚もしていないのに子作りの話をするなんておかしなカップルだと里美は思っていたが、その頃はまだ自分達の環境が整っていないからこそ授からないのだと思っていた。
心構えや精神面、仕事の面でも今はその時ではないと思っていた。

 

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