アカリン@とあるカップルの家族誕生小説執筆

 

 

 

オリジナルストーリー、人物の賀城修二と桃瀬里美の物語をひたすら掲載。

pixiv同様サンプル版を掲載していきます。

R18を含む、性欲強めカップルの物語。

大学生時代〜結婚〜妊娠、出産……国立大出身、両親のいない夫婦が家族をつくる。

以降連載中。

【5と0の付く日+気まぐれで更新中。毎月全6回+α更新。】 

《未来への足跡》 1〜17話 全体公開中

 

※Twitterにて支援者さま向け裏話や更新情報など呟いてます。

 桃瀬からの頼み事。

事情が分かっていた俺は、当然その頼みを引き受けた。

わざわざ頼んでくるというのは、よっぽど辛いというの事だろう。

風呂へ入れるのはいつもの事だし、一人や二人増えることは全く構わないのだが、三人同時にとなるとやはり大変なのは事実だ。


「生理来たんけど、久っさびさにキツイのよね。悪いんだけど今日、子どもたちのお風呂お願いできるかしら。」

「大丈夫なのか?だからさっき…」

「結構お腹痛くてね。カイロ貼ってるんだけどさ、結構辛いの。」


昔を思い出させるような、そんな出来事だった。

夕方、キッチンで辛そうにしている姿を見た。

優梨がビスケットを食べたいと駄々をこねている時、シンクに手を掛けながら座り込んでいたのだ。


「もうおやつにするの?」

「あーれ、とーだい!(あれ、ちょーだい!)」

「ねんねしてからにしよ?まだ早いよ。」


昼ごはんが足りなかったのだろうか、確かに昼の一時におやつは早すぎる。


「ぱんちゃんの(パンダちゃん)くっきー…」

「優梨、パパとねんねしよっか?愛梨も亮二もベッドのお部屋行ったぞ。」

「パパにご本読んでもらったら?」

「ないない。」

「ゆーちゃんが今ビスケット欲しいって言ったら皆んな欲しくなっちゃうよ?一人でワガママはダメなの。」

「ほら優梨行くぞ!絶対眠いだろ。」


その場を動こうとしない優梨を抱えて寝室に連れて行こうとすると、仰け反って抵抗するが目元を擦り、眠いのは時間的にも明らかだった。

そんな姿に桃瀬は少しでも早く寝てもらい、自分も休みたそうな様子を見せる。


「なんか、大丈夫か?」

「ちょっと色々とね。」

「具合悪いなら休んでろよ。俺、寝かしつけしてくる。」

「ありがと、頼むわ。」


この時一緒にベッドで休ませても良かったのだが、こんな状況ではゆっくりと休めないのは目に見えていた。

寝室で寝かしつけをしていると、扉の向こうでは咳き込む声が聞こえる。


「…吐いてるのか?」

「まま、おねちゅ?おせきコンコンしてる。」

「お熱じゃないけどお腹が痛いみたいだぞ。みんなママに優しくな。男の子はもっと、女の子に優しくしてあげなきゃいけないんだからな。」


トイレで嘔吐しているのであろう声がする。

絵本を読み聞かせ、一番眠たそうにしていた優梨を筆頭に、順番にトントンと背中にお腹に叩いてやると順番に寝落ちてゆく。

寝静まった寝室の扉をそっと閉め、リビングへと戻るが桃瀬の姿は無く、トイレと繋がった洗面台の前で横になっていた。


「こんな所でどうした?具合悪い?さっき吐いてただろ。」

「生理来たんけど、久っさびさにキツイのよね。」


二年連続の、生理が再開しないままの妊娠により、元々酷かった生理痛から逃れられていたここ数年間。

母乳を与えていた事もり、生理の再開は一年を過ぎてもなかった。



生理がない=妊娠しない



ではないということを俺たち夫婦は身を持って経験したわけで、その辺りは勿論気を付けて夫婦の時間を過ごしていた。

が、いざ再開してみると意外にも以前よりも症状が軽くなっている事に本人は喜んでいたのだが。

一度再開すればその後は毎月訪れ、本人も昔ほど辛そうに過ごすことはなく、そういう過去の事を俺も忘れかけていた。

そんな中の今回の出来事だった。


「痛すぎて気持ち悪くなるの、こんなの慣れっこなはずなんだけどね。久しぶりすぎて、ちょっと…」

「横になってろって。女性は大変だよな、色々と。」


桃瀬はリビングで横になり目をそっと閉じると、その下腹部に触れ労った。

子を宿すために何年も苦痛と不快感を伴い、宿ればそれはそれで様々な不安や出産による痛みを味わうのだ。

桃瀬の子宮だって同様であり、続け様に三人を育み、双子を宿し成長させるという事を乗り越えて来た場所である。


「薬飲むか?」

「もう飲んだわよ。」

「そりゃ、そうだよな。」


リビングのソファーに腰を掛け、眉間にシワを寄せながら目を閉じる桃瀬の顔を眺めていると無性に労わりたくなり手を握った。


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