アカリン@とあるカップルの家族誕生小説執筆

 

 

 

オリジナルストーリー、人物の賀城修二と桃瀬里美の物語をひたすら掲載。

pixiv同様サンプル版を掲載していきます。

R18を含む、性欲強めカップルの物語。

大学生時代〜結婚〜妊娠、出産……国立大出身、両親のいない夫婦が家族をつくる。

以降連載中。

【5と0の付く日+気まぐれで更新中。毎月全6回+α更新。】 

《未来への足跡》 1〜17話 全体公開中

 

※Twitterにて支援者さま向け裏話や更新情報など呟いてます。

 

 

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修二と里美の誕生日。

毎年恒例だった二人きりのバースデーディナーも今年はもう厳しそうだ。

そんな中、友人夫婦が提案したこととは…

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「今年の誕生日は食事どうする?」

「もう今年はムリだろ。俺もその頃はもうあっち戻らないと…」

 

里美はふっと悲しそうな顔をした。

入籍して一年半。

二人の愛の結晶が瞬く間にここまで増えるとは誰も想像していなかった。

当の本人達である、修二と里美でさえも。

二人の誕生日。

十二月の月初と月末にそれぞれ誕生日を迎える二人は、実は数週間だけ同じ年齢となるのだった。

大学の頃に付き合っていた頃、そしてその後別れ再会した後も二人の誕生日の真ん中に当たる日に互いを祝うのが恒例となっていた。

年齢を重ねるごとに少しずつ高級なレストランで祝う事もできる様になったが、それももう暫くは出来ないだろう

 

「この子達、居るもんね。三人一緒に連れて行ったら絶対お店の迷惑になるもの。」

「だよなぁ。」

 

修二は考えていた。

二十代最後の年、里美のこの一年は誰がどう考えても目まぐるしかったはずだ。

途轍もなく酷い悪阻と入院、それから結婚。

初めての育児に復職、そして再びの妊娠に出産、それから何よりも修二の力が無くしての母親一人による三人育児。

驚く事にどれもこの一年間の出来事であり、その頑張りを修二は何らかの形で労いたいと思っていた。

 

 

 

双子の退院に合わせて日本に戻り、この一か月の育児休暇を取得した後は再びドイツへ戻る事になっていた。

毎年の恒例の日を早めるべきか、子ども達の預け先を探すか。

だが年子三人、それに下の二人は小さく産まれ、まだ退院したての未熟な双子たち。

里美の親に預けるにも、実際には乳児の育児経験がない夫婦にはキツイものだろう。

 

「別に食事にこだわらなくても良いわよね。だって今までいっぱい誕生日の思い出は作ってきた。これからは家族で過ごすのでいいんじゃないかな。」

「それでいいのか?」

「うん、不満なんて全然ないわ。」

 

去年、亮二が産まれて最初の誕生日は、あまりに小さく産まれたことでまだ入院中でだった。

 

『二人で来るのは今年で最後。来年からは三人で来よう。』

 

なんて話をしていたのが、あれよあれよと二人も増えそれを叶えることは厳しくなってしまった。

毎年恒例、年に一度だけ利用するあのレストランでの食事は泣く泣く諦める事にした。

 

 

それでも修二は別の形で何かできないかと考えていた。

だがプレゼントにしてもアクセサリーは本人があまり身に付けないし、ブランド品だってあまり興味を持たない。

何よりもあの様な細々した物はあの性格じゃ無くしやすいし、結婚指輪を未だ紛失していない事はまるで奇跡だ。

所持しているブランド品と言えば何年か前、付き合っていた頃にアウトレットで購入した数万円のバッグと財布くらいだろうか。

修二は悩んでいた。

 

 

「桃瀬!少し早いが今月中に行こう、あのレストラン。」

「だって、子どもたちどうするのよ?」

「隼人と優香ちゃんが、その時間だけ預かってくれるってさ。」

「いやぁ、大変でしょ。」

「この間ポロっと話したら隼人がさ、俺たちをどうしても行かせてやりたいって。優香ちゃんに掛け合ってくれたらしいぞ。」

「そうなの?そしたら甘えちゃう?…優香ちゃん達にちゃんとお礼しなきゃね。」

 

元々は隼人と修二が友人同士だったが、それぞれの彼女として皆大学時代から親交があった親しい仲だ。

しかし大丈夫だろうか。

相手の家庭にも幼い娘が二人いるのだ。

早速、修二はレストランへ電話を入れ候補に挙げていた数日から予約をとった。

 

「良かった、予約取れたぞ。」

「楽しみね。今年が本当の二人で最後になるかもね。」

 

里美は当日のプレゼントをどうしようか考えていた。

そしてその日は八日後に迫っていた。

 

 

当日

 

修二は仕事の休みを取っていた。

子どもとは何故にこんなにも早起きなのだろうか。

まだ日も昇り始めたばかりの空が薄らと色付いただけの早朝。

まず目を覚ますと里美の元へ近寄り、ふぎゃふぎゃと泣きながらパジャマの下の乳首を咥えたいと訴えるのだ。

 

「亮…ん、もう起きたの?おっぱい飲んでいいから、まだねんねしよ?」

 

里美は自分の横に亮二を寝かし、添い乳をさせながら再び重たい瞼を閉じる。

睡眠の波のおかしなタイミングで目覚めたせいだろうか、ガンガンと頭痛がする。

吸われる右乳首の感覚に反射し、反対の左胸の奥では母乳が生成されツーンと痛んだ。

柔らかな右胸と張ったままの左胸。

姿勢を入れ替え、左側の乳首を亮二の口に含ませると勢い良く出ているのだろうか、コホコホと咳き込み咽せる。

 

「だいじょーぶ?落ち着いて…」

 

ロンパースを身にまとった小さな背中をトントンと叩いてやると自分からカプッと乳首を咥え、亮二はいつの間にか再び寝落ちていた。

ドアの向こうでは亮二の泣き声とはまた異なる、まだ月齢の低いことが感じられる声が複数聴こえる。

 

「う゛ぅ、頭いたぁ…」

 

里美は自分の両サイドを見ると、ベッドの上には修二も子どもたちも居なかった。

ベッドメイキングを済ませリビングへ向かうと、床に寝転んだ双子を兄である亮二が覗き込み、両親の見よう見まねで二人の頭を撫でている。

 

原文4483文字

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