仲良しグループの中でもちょっと大人っぽい子に薦められて買った。
上下2冊の赤と緑の分厚い本。
主人公の僕とそのまわりの風変わりな人たち。突然自殺してしまう親友とその彼女。
独特のセリフ回しが好きだった。
やれやれ、その頃の私は村上春樹にすっかり感化されてしまったようだ。
理想の男の子はワタナベ君だったし、緑みたいな女の子になりたかった。
それからしばらくは私のお気に入り本棚の中にずっと入って、何度も読み返した。
ワタナベ君は孤独な人間だったけど、1人で満たされてようとした。そんなところに惹かれた。でも結局人間は1人で満たされることはない。どうやっても集団で生きていく本能があるのだ。
ラストは救いのない終わりだったのだろうか。私はあの後ワタナベ君は満たされる生活を送れたと信じたい。
その後、いろんな作家の本を読むようになって。
登場人物に自分を重ねたり、読み始めたらやめられなくてその日のうちに読み終わった。一時期は活字中毒なくらい、本ばかり読んでた。本屋さんで何時間も本を選んで、これだと思う作家に会えた時の喜び。
私はどちらかというと、ほのぼのした小説ではなく、推理小説や連続殺人犯の心理を描くような小説をたくさん読んだ。
10代から20代にかけて、そういう小説を好んだのは、小説の中に書かれている残酷な事件や体験は私にとっては、何か現実を壊したい、でも壊せないから小説の中で体験するという代償行為のようなものだったかもしれない。
もちろん、そのような猟奇的な本ばかり読んでいたからといって、現実に事件を起こしたいとかそういうわけではないのです。念のため
むしろ逆で、なぜそんな心理になるのか理解できないので、知りたいという気持ちが大きかったと思う。
そして、物語の中で葛藤して成長したりする主人公に共感していた。本の中で私はいくつもの人生を生きられる。
そんな気持ちにさせてくれる本ってすごいなって。小説家にはなりたいわけではなかったけど、本に関係ある仕事がしたかった。本屋さんで一日中本が読めたらいいなって思ってた。
今はあまり本に没頭する時間が持てないけど、あのワクワクする気持ちをもう一度味わいたい。
手始めに、騎士団長殺しを買ってみた。
10代の頃の先入観のない気持ちでまた読書を始めてみようかな。
