リヨンにいた頃のこと。


周りのフランス人の友人たちがそろって

私について、ある歌手によく似ていると言っていた。

その頃の私はまだ彼女の存在を知らず、

みんなに「似ているから、みてみなよ」と言われたことにより、

怖いもの見たさで恐る恐る、その写真をみたのだった。


一体何人なんだろう?と思いながら・・・


すると思いがけず、かわいらしい姿を目の当たりにし、

みんなの思いやり、やさしさに感謝をした。

気遣ってくれて ありがとう、と。

(だって、ねぇ。私、純日本人だし、似ているはずが・・・??)


彼女の名は、オリヴィア・ルイズ。


「スペイン人」と題しているけれど、

彼女はスペイン系フランス人。

スペイン語でも歌をうたっている。


② Olivia Ruiz


Le temps des cerises*


音楽を聞いてみると・・・

なーんだ、と。


よく知っている曲だったから。


それもそのはず。

彼女は今フランスでとても人気のある女性歌手のひとり。


似ていると言われたことから親近感を覚え、

(すみませんが、勝手にね!)

曲を聴き始めたわけだけれど・・・

今では本当に大好き。よく聴いている。


その経歴の始まりはというと、

人気テレビ番組"Star Academy"に始まる。

(日本でいうところのアイドルを輩出する番組)

彼女はこの番組に出演をしているが、優勝はしていない。

しかし、これをきっかけにデビューを果たすこととなる。


ところが。

彼女はこの番組出身であるという経歴を恥じ続け、

(アイドル的存在に仕立て上げられるから)

あくまで独自の路線を貫き通した。

よって、人気を博するまでに

少し時間がかかっている。


つまり、実力で勝ち取った現在の地位なのだ。


実際、実力派だし、大衆受けする存在ではない。

そう、彼女はとても個性的な音楽を奏でる。

(こういう個性派が、フランスでは人気を得ている。

クリストフ・ヴィレムもまた例にもれず。)


ちょっと鼻にかかりつつもピアフを思わせる力強い声や、

その歌唱力。表現力。そしてその、独特の世界観。

私は、好きだ。


彼女を有名にしたのは

日本でも知られている" la femme chocolat"という曲。

チョコレートを食べすぎた女の子の歌なのだから、

フランスらしいといえば、フランスらしい。


訳すると『チョコレート女』・・・



Le temps des cerises*


(写真左は、彼女の恋人Mathias)