久しぶりの投稿になります。

先日、県の里親交流会があり、とても素晴らしい講演を聞くことができました。

講師は寮美千子先生で、誌・童話・小説・純文学・ノンフィクションまで幅広く執筆されている作家先生でした。

地元東京を50代で離れ、現在は奈良に移住されています。

寮先生は奈良少年刑務所で、コミュニケーションに困難を抱えた受刑者を対象とした「社会性涵養プログラム」の講師として9年間、詩の授業に取り組んでこられました。

奈良少年刑務所の受刑者たちは17~25歳。

刑務所に講師を依頼された時の心境は、
「重罪を侵した彼らの前に立つのが恐怖だった」と述べていました。

しかし、目の前にいる少年たちは、実親による虐待・ネグレスト・貧困が背景にあり、

愛着障害や発達障害を抱える少年たちが多かったといいます。

そんな彼らは生きていくために「鎧」を身にまとうことで自分を守ってきたのです。

「根っから悪いコなんていないんです」

「彼らが優しすぎて・・・涙が何度も零れ落ちました」
と先生。

先生が執筆した書籍、
「空が青いから白をえらんだのです」



このタイトルは、受刑者が書いた詩です。

この詩を書いたA君は、
普段無口な少年でした。

詩について解説したA君は、
亡くなった母親の最期の言葉、
『辛いことがあったら空を見て。私がそこにいるからー』

この言葉を思い出し、母の7回忌に詩を書いたそうです。

「体の弱かった母親は、いつも父親から殴られていた。小さかった僕は、何もできなかった・・・」

子どもながらに母を守れなかった無念の気持ちに苛まれていたんですね。

詩の解説を聞いた受刑者たちは、次々と泣き出したそうです。

自分の詩がみんなの心を動かしたA君は、自信を取り戻したそうです。

詩によって閉ざされた心を開放し、重い鎧を脱ぎ捨て、

「本来の自分の姿に戻ることができるんです」、と寮先生はおっしゃいました。

講演会の最後に、

「否定しない、受け止めること」
「そうなんだ!そう思うんだね。でも私はこう思うよ」

「一人ひとり感じ方が違うのだから、
相手に変われというのは、その人(子ども)を否定していることになる」

「あなたがあなた本来の姿になることが大切なのだから・・・」


こんな素晴らしいメッセージをいただきました!


すべての人と人とのコミュニケーションに通じるメッセージだと思いました。