公衆電話の場所まで来たがDさんはいなかった。
Dさんの家は知っていたので家まで行ってみた。
カーテン越しに電気は点いていたので家族の誰かは居たのだろうけど、Dさんは帰ったのかどうかまでは分からなかった。
仕方ないので、そのまま家に帰った。

翌日学校ではいつも通りの明るいDさんがいた。
「昨日・・・大丈夫だったの?」と聞いた。
「うん、心配かけた?ごめんね。」
「いや、大丈夫なら良いんだけどさ。」
「うん、ただ・・・バイトは辞める事にした。」
「そうか・・・」
まあ、寂しいけど・・・仕方ないよな。
この時俺は彼女と言う存在がありながら、仲の良い友人を彼氏にしているDさんに対して好きな気持ちがあった。
もちろん、その気持ちは押し殺したけど・・・

 


高校を卒業後、たしか21歳だったかな?
そのころには俺は彼女と別れ、誰とも付き合ってない時だった。
そんなある日にDさんから結婚披露宴の招待状をもらった。
俺は出席の返事をして、結婚披露宴に参加するため根室に帰った。

結婚する相手は干支が一回りくらい上の男性だった。
「おっさんじゃねえか・・・」
思わず独り言を言ってしまった。

ウエディングドレスのDさんは凄くきれいだった。
胸のあたりが急に締め付けられるような感覚。
改めて確認。
とっくに分かっていたけど再確認。
俺はやっぱりDさんがすごく好きだった。

 


キャンドルサービスの灯と周りの友人達の祝福の声に紛れて、精一杯の笑顔で「おめでとう!!」と伝えました。
「ありがとう!!」と答えたDさんは変わらず、素敵な笑顔でした。

一応フォローしておくが!
今一番好きなのは妻です(笑)
こんなこと書いたら嫉妬されそうなので、一応ね!
この時の反省があったから、妻には勇気を出して自分から告白したんです。

俺は思うんだけどさ、恋というのはさ。
実らないからこそ、恋なんだと思うんだよね。
実っちゃったら、恋じゃないんじゃないかな・・・
実らないからこそ、綺麗な記憶として残っているんじゃないかな。
多分ね。