小学校の時、違うクラスではあったが松川君という子が転校してきた。
松川君はちょっと変わっていて、、喋るトーンが一定で、まるでロボットみたいな喋り方をする子だった。
真面目で、頭が良かった。
松川君にはお兄ちゃんもいて、一見怖そうな顔つきだが面白い人だった。
俺は当時、海洋少年団という団体に所属しており、手旗信号や水泳、カッターと言うボート競技をする団体で言うなれば、ボーイスカウトの海バージョンと言った所だろうか。
海洋少年団は根室港が近くにある金刀比羅会館という所で訓練をしていたのだが、松川兄弟も新入団員として入ってきた。
ある冬の日、いつも通り海洋少年団が終わってから皆で遊んでいた。
皆で何となく港に行ったら、流氷が来ていた。
根室の人間には毎年の事なので珍しくもなんともなかったのだが松川兄弟は興奮していた。
すると突然、松川兄が港から大きな流氷めがけて飛び移ったのだ。
見事着地。
したのは良いものの、それまで岸に向かってゆっくり近づいていたその流氷は、飛び移った勢いでどんどん沖に流されて行った。
松川兄は「えっ?!!えっ?!!」と言うまま、どうする事もできず沖に離れて行った。
結局俺達は根室海上保安局が近くにあったので、起きた事を話し、救助してもらった。
松川兄は海上保安の人に怒られてた(笑)
翌年、俺も松川君も中学生になった夏。
この日も港でかくれんぼをして遊んでいた。
松川兄は港のテトラポッドの中に隠れた。
テトラポッドの中で声を潜めていると、鬼が近づいてきたのでテトラポッド内で隠れながら移動したのだが、足を踏み外し、片足を海水に着けてしまった。
そのまま声を潜めてその場をやり過ごしたのだが、気づくとその足はテトラポッドの隙間に入ってしまい、抜け出せなくなった。
その後1時間以上、俺達は松川兄を見つけられず、探し回った。
するとどこか遠くから松川兄の声がするので近づくとテトラポッド内で「助けて!!!」と泣きながら叫んでいた。
見ると、松川兄は潮が満ちてきた為に浸かってた脚は、腰辺りまで海に浸かっていた。
結局海上保安局に起きた事を話し、救助してもらった。
松川兄は海上保安の人に「またお前か!!」と、こっぴどく怒られてたよ(笑)