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『親父』道 ~おやじどう~

究極のパパっ娘による「父とその娘」の回想録

あす、手術です。私の。

視力回復手術、俗に言う「レーシック」を受けることにしました。
0.05の視力が裸眼で1.5とかになるらしいです。
21世紀ってすごいですね。

親からもらった体に意図して異物を入れるのは・・・
21年ぶりでしょうか。


16歳の誕生日を迎えた直後、左耳に穴を開けました。ピアス用です。

日本の法律では女性は、16歳になったら結婚できます
(20歳までは親の同意の下)。
ポルノ鑑賞解禁は18歳。酒・タバコ・選挙権は20歳。
要するに、最初の『大人への関門』が16歳という、
今となっては支離滅裂な理屈から16歳で何かしたくて、
かといって結婚相手も見つからず、
ならばピアスでも・・・、と短絡的に思った訳です。

 さて。最初の自己責任だ。

そんな訳、ないんですが。

かといって、自分でぷちんとやるのは怖かったので病院に行ってみました。
すると
「16歳?ふーん・・・。親の同意は?校則は?」と聞かれ、
追い返されてしまいました。

ならば。
帰宅途中の電車の中で、生徒手帳を片っ端から読みました。
 「アクセサリーの項:華美な装飾は禁止」

 てことは、目立たなければいいんだな

父に生徒手帳を見せました。
「ピアス禁止とは書いていないな?」
二人で確認した後、あらためて病院へ行きました。

「親御さんが了解しているなら・・・」と、無事、左耳にピアス穴貫通。
髪さえかきあげなければ分からないような24金の5ミリ玉を
ジンジン痛い左耳に這わせて10日ほど通学しました。

で、ばれちゃいまして。
職員室に呼び出されたんですが、5分ほどで「帰ってよし」と。

私が担任と面談している5分の間に、学年主任が家に電話していたんですね。

と、父が電話口で「私が付き添って開けました」と言う。
チクったつもりが親公認。
空いた口が塞がらなかったんでしょうね、学校側としては。


その後、わが親子は
私が卒業するまでの2年半、目をつけられ続けられることになる訳です。
アメリカ合衆国の次期大統領にオバマ氏が選ばれた日。
勝利宣言の生中継を自宅で見ながら、予感はしていました。

 ほらね、親父からの電話だ

黒人音楽、と言っても、父の世代ですからHIP HOPなはずがなく、
ジャズやゴスペルなんですが、
とにかく黒人びいきの父。
歴史が動いたその瞬間、居ても立ってもいられず電話をかけてきたようです。

2001年9月12日、すなわち911(同時多発テロ)の翌日も
電話をかけてきた父。
アメリカという国が気になって気になって仕方ないのです。

戦中生まれの父ですから、
GHQ体制による刷り込みの影響は否定できませんが
それにしても、かなりのアメリカびいき。
『自由の国、アメリカ』
『Viva, America』
『アメリカン・ドリーム』
そんなフレーズに心躍らせる、とても無邪気な人です。


そんな父による刷り込みがあったのか
私もいつしかアメリカに憧れを抱き、
ドルに対して円が史上最強だった時代に渡米。
学生時代をニューヨークで過ごしました。

 
 何をするにも、父を超えることはできない

そう思って育った私が、
父が成し得なかったアメリカ留学を果たしたことで
唯一つ、父に勝る体験を獲得したのでした。


「オバマの勝利は、アメリカを変えるのか?」
電話口で私に聞く父。
残念ながら、その問いに対する確たる答えを私は見つけていません。

 これから、二人で見ていこうよ

そう答えて、電話を切ったのでした。

 
 オバマ大統領の任期をしっかり見届けてよ、親父・・・
紅葉のきれいな時期。
色付いた木々など眺めていると、親父とのドライブを思い出します。

実家から遠く離れた、辺ぴな山奥にある大学で寮生活をしていた頃。
帰省するには、電車なら片道8時間、車だと6時間かかるため、
親父がほぼ毎回、車で送り迎えをしてくれました。

特別『箱入り娘』という訳ではなかったと自分では思っていますが
(これについては、母は異論があるようですが)
二人きりで6時間も語り合える貴重な時間を確保するには
それが最適な方法でした。


 いい歳をした娘が 何を6時間も父親と語らうか

学校生活のこと
時事ニュースのこと
男の子のこと
とにかく思いつく限りの、ありとあらゆる話をしました。

私が一方的にしゃべりまくる訳ではなく、
父からは、私が不在の間の家族の様子について聞いたり
仕事の進捗を聞いたり。

  きっとテーマなんて何でも良かったんだろうなぁ

要するに、かつての『交換日記』となんら変わらず。
親父と二人きりで向き合うこと。語り合うこと。
それ自体を楽しんでいたように思います。

体調を崩し、運転免許証を返納した父と
ペーパードライバーの私が
二人きりでドライブすることは、おそらくもうないと思いますが
いつか電車の旅でもしてみたいものです。