オペラ座ガラ 〜ヌレエフに捧ぐ〜 【Bプログラム】 | coco♡mi blog

4年ぶりのロイヤル来日公演の興奮も冷めやらぬ中、こちらも楽しみにしていたパリオペダンサー達のガラ公演が立て続けに、、
というわけで、まずは7月に観た「オペラ座ガラ」。
Bプロ千秋楽を鑑賞。



「今回のガラ公演はヌレエフ没後30年を記念して、“ヌレエフ世代”の一人であるフロランス・クレールの指導のもと、現代のパリ・オペラ座バレエ団を支えるエトワールをはじめとする精鋭たちがヌレエフゆかりのレパートリーを披露するものです。」
NBSサイトより

ー 第1部 ー
「ゼンツァーノの花祭り」
振付:オーギュスト・ブルノンヴィル
音楽:エドヴァルド・ヘルステッド
パク・セウン、ポール・マルク

「ナポリ」より第3幕のパ・ド・シス
振付:オーギュスト・ブルノンヴィル
音楽:エドヴァルド・ヘルステッド、ホルガー・シモン・パウリ、ニルス・ウィルヘルム・ゲーゼ、ハンス・クリスチャン・ロンビ
ブルーエン・バティストーニ、イダ・ヴィンキンコスキ、クレマンス・グロス、オーバーヌ・フィルベール、ダニエル・ストークス、アントニオ・コンフォルティ

「ゼンツァーノ」はヴァリエーションくらいしか知らなくて舞台では初めて観たけれど、女性の衣装が美しい♡
初めて生で観るパク・セウンさんは、軽やかで可愛らしくて可憐で、細くしなやかなラインが美しかった。(出産後、この公演の1ヶ月前に復帰したばかりとは思えない!)
ポール・マルクはいつも通り完璧なテクニックで、それはそれは素晴らしかった。
滞空時間の長い跳躍は上階から見てもよくわかるほどで、つま先と細かい足先の動きが美しい!
彼の踊りを見ていると、空気が動くのが見える。
そして、それが大きくて優雅で美しいの。
ピルエットは何回転しようが、最後は全て5番!
クラスでの完璧なお手本を見ているようだった。
セウンさんがパ・ド・ブレでポールの周りを回るときのポールのサポートが、なんと自分はアチチュードしてその場でプロムナード(自転)しながらのサポート!
こんなトリッキーなサポート初めて見た!笑
あと、パ・ド・ドゥで2人で組むところがナポリ並みに速くて(というかこれもナポリの一部なの?)、すごく難しそうだった。
でもパリオペのエトワールレベルのダンサーになると、きっと難しいほどやりがいを感じて楽しいんだろうなぁ。凄。





「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」
振付:ジョージ・バランシン
音楽:ピョートル・チャイコフスキー
オニール 八菜、ジェルマン・ルーヴェ

オニール八菜さんとジェルマン・ルーヴェのペアは、日本で客演した「白鳥」で観て以来。
後日読んだインタビューによると、オニールさんは以前からこれをジェルマンと一緒に踊りたいと思っていたそうで、元エトワールのフロランス・クレール(先生)からは自分達らしく踊るようにと指導を受けたそう。
もうね、何がびっくりしたって、ジェルマンのソロが驚くほど素晴らしかった!!
これまで彼の踊りは何度か舞台で観ているけれど、正直同じ人とは思えない(は言い過ぎ?)くらい衝撃を受けた。
舞台空間を支配する存在感。彼もまた、大きくそしてダイナミックに空気を動かしているのが見えた。
音楽が好きなのも手伝って?感動で思わず泣きそうになり、そんな自分にびっくり。
オニールさんはバランシンが似合うかもと思いながら観ていたけれど、ソロの最後のピケターンからの疾走感と音楽性が完璧だった!
ラストにかけてのハイスピードから、最後の音でピタッと静止して凄かった。
ここまでビタリとハマるとすごく気持ちがいい。
コーダも盛り上がって、拍手喝采!
素晴らしかった。

ー 第2部 ー
「さすらう若者の歌」
振付:モーリス・ベジャール
音楽:グスタフ・マーラー
マルク・モロー、アントワーヌ・キルシェール

マーラーが歌手との別れを振り返って書いた、苦悩する若者とそれに無関心な自然とが対比的に描かれた音楽に、ベジャールが惹かれて振り付けた作品だそう。
青と赤の衣装の男性ソリスト2人の踊り。
アントワーヌ・キルシェールは多分パリオペの男性の中では小柄で、どこか中性的な雰囲気も感じさせ、マルク・モローと並んで踊る様子と動きを通してのやり取りが兄弟にも見えた。
マルクはエトワール昇格まで名前しか知らなかったのだけど、どちらかというとコンテンポラリーで評価されてきたダンサーなのね。
なぜかわたしにはマーラーの音楽が子守唄にぴったりで笑、何度か睡魔に襲われたのだけど、、オペラ座で踊ったマチューとオードリック、ジェルマンとユーゴの組み合わせも機会があれば観てみたいな。

「コム・オン・レスピール」
振付:ユージン・ボリャコフ
音楽:ジョン・フィールド
オニール 八菜、マチアス・エイマン

初めて聞く作品だから勝手にコンテだと思っていたら、全然クラシカルだった笑
ピアノの旋律がロマンティックなパ・ド・ドゥ。
わたしにとってこのガラの一番の目的は大好きなマチアス・エイマンだったので、舞台で踊るマチアスの姿をまた観られたことが嬉しくて、、感極まって途中から泣いてた涙
ずっと見ていたい足先・つま先の美しさ、唯一無二の個性とエレガンス。久しぶりに観られて幸せ。
オニールさんの微笑みにマチアスへの信頼も感じたし、マチアスの時折見せる笑顔が優しかった。
「くるみ割り人形」より2幕のグランパ・ド・ドゥ
振付:ルドルフ・ヌレエフ(マリウス・プティパ、レフ・イワーノフに基づく)
音楽:ピョートル・チャイコフスキー
ブルーエン・バティストーニ、ポール・マルク

キラキラのティアラをつけたブルーエン・バティストーニが、眩いばかりに美しくて、、
ブルーエンは注目しているダンサーの一人だったけれど、テクニックも安定しているし、次回のエトワール昇格は彼女でいいんじゃないと思った笑
ポールの全てにおいて素晴らしく美しいテクニックも堪能♡
彼は本当に素晴らしいとしか言いようがない。
最後のポーズのリフトは、男性のアラベスクに上げた脚の上に、女性が5番ポジション(ポワント)の状態で乗っかるという、初めて見るかたち。体重ないの?という感じ笑
ヌレエフの振付って、これだけのものを持っているダンサーが踊ると見応えがあるなぁと。
逆に言うと、そうでない人が踊るとハラハラして見ているだけで疲れそう、、
パリオペクオリティだからこそ美しく魅せられるのよね。


ー 第3部 ー
「ライモンダ」より第3幕のグラン・パ
振付:ルドルフ・ヌレエフ(マリウス・プティパに基づく)
音楽:アレクサンドル・グラズノフ
オニール・八菜、マチアス・エイマン
ブルーエン・バティストーニ、イダ・ヴィキンコスキ、クレマンス・グロス、オーバーヌ・フィルベール、アントワーヌ・キルシェール、ダニエル・ストークス、アクセル・イボ、アントニオ・コンフォルティ

オニールさんの毅然としたオーラが強く美しく、姫を通り越して女王の風格。
ライモンダの所謂 "手打ちのソロ" は、踊り始める前からもう表情が凄くて、遠くからでも後光が差して見えたほど。
このソロは数年前に彼女がローザンヌで踊ったのを映像で見たけれど(映像だからきちんと比較はできないけれど)、数倍良かったというか、この日は完璧だった!
公演後、「ライモンダのオニールさんすごい迫力だったね、エトワールになるってこういうことなんだよね」という声が聞こえて、やっぱり皆そう思ったよね!と心の中で頷いた。
チュチュの端に赤の縁取りが効いている衣装も素敵だった。
マチアスは今回は作品的に、意図的にそうしているのかもしれないけれど、わたしには少し抑えた踊りに見えたのは、彼の全開の踊りを観たことがあるからかも。というか、すごく難解なことをさらっとするからそう見えてしまうんだと思う。
いつだってジャンプは軽く、着地は柔らかく全く音がしないし、何をしても力みがなくエレガントで美しいし、踊りに本人の繊細さが表れているのかなとも思うし、やはりこの人はレベルが違うと思った。
パ・ド・ユイットの女子3人が一緒に踊るところは、真ん中で踊っていたオーバーヌ・フィルベールの柔らかなアームスと上体の使い方が、表情があってとても好きだった。彼女、今回のガラで初めて知ったけれど、これから注目したいダンサーの一人に加わった。
全幕物だとソリスト以上でないと一人ひとりのダンサーをじっくり見られないので、今回のようにガラで少人数だとスジェ以下のダンサーをよく見られて嬉しいし、それがガラの良さの一つだなと思う。

今回のガラで感じたこと。
舞台はナマモノだし一期一会だから、もし自分がダンサーに対して何かしらのイメージを持っていたとしても、その印象やイメージは毎回変わるんだなということ。
だから、過去に観たことがあったとしても、ダンサーのいま、バレエ団のいまは、そのとき観ないとわからないなということ。前に観たから知っていると思うのはもったいないなと。
まぁそうはいっても、観たいダンサーばかりの中で取捨選択しなければならないときは、消去法で観たことのない人を選んでしまうのだけれど。
それでも心には留めておきたいなと思う。
自分の目やアンテナや感受性も日々変わるし、ダンサーも日々変わっているのだから、当然と言えば当然なんだけれど、それに気づけた舞台だった。






From @paulmarque Instagram

皆の顔でこの公演の成功がわかる♡