担当の先生との話が終わって、診察室を出た。
夫には"手術で切除できるみたいで本当に良かったね!!"と声を掛けたが、手術のことで頭がいっぱいな様子…
とにかく前向きな言葉をかけるしかなかった。
そして次の部屋へと案内された。
そこではストーマについての説明を受けた。
夫の手術はステントを含む直腸の一部切除と肝臓の癌の部分を切除するとのことだったが、手術の状況によってはストーマを設置する可能性もあるとのことで説明があった。
ストーマとは何か?
ストーマの取り扱いの方法
ストーマの購入方法など…
担当の方は写真や実際のストーマを見せてとても丁寧に、わかりやすく説明をしてくれた。
私たちはストーマのことを知るのも見るのもすべて初めて。そんな中、淡々とされる説明が事務的にも感じた。それだけストーマをつけている人が多いんだなと感じた。
今までオストメイトトイレの存在も知ってはいたが、そのトイレでどんなことをするのかなどもそれまで知らなかった。
私はとても冷静に説明を聞いていた。
ストーマを夫が実際につけることになったときの為に、わからないことも聞いておかなければ、といくつか質問をしてメモも取った。
その横で夫は涙を流していた。
これから大きな手術をすることになり、ストーマを設置するかもしれない、今までの体とは違うものになってしまうのかもしれない、どうして自分が病気になったのか…
いろいろな感情で涙が出たようだった。
病気がわかってから初めて私の前で見せた涙だった。
説明を受け終わって部屋を出てから2人で泣いた。
病気になってしまったことは仕方がない。
今ある命が大切だから、手術の成功を祈って前を向くしかない、そう思うことで悲しい気持ちを奮い立たせていた。