翌日なかなか病院からの連絡も無く、相変わらず夫のラインも既読がつかないためしびれを切らして病院に問い合わせた所、
"担当の医師から折り返します"との返事。
落ち着かない時間を過ごしていたらようやく夫のラインが既読に!
夫「昨日は大変だった。麻酔もしないでお尻からいろいろ器具を入れられて…」
私「ステントっていう器具だよね?」
夫「詳しいことまだ何も聞いてない」
そんなやりとりをして、夫とは連絡がつくようになったけどまだ詳しいことは全然わからず…
コロナ禍でなければ面会できたのに。
その数時間後、ようやく病院から連絡がきた。
担当の男性医師からだった。
医師「昨日の検査で大腸の結腸という場所に大きな異物があったのを確認したので、ステントという器具をお尻から入れて一時的に腸の通りを良くしました。そのおかげで便が通るようになりました。」
私は内心ホッとしたが、それと同時にその後に続くであろう言葉が不安でたまらなかった。
昨日大腸に異物があるという言葉を聞いてから、ネットでいろいろと検索してしまっていた。
医師「異物が腸を塞いでいたせいでマッチ棒1本がやっと通るくらいの隙間しかありませんでした。異物は病理検査に出してあります。」
もしかして、やっぱり…と思ったら言葉がすぐ出てしまった。
私「悪性の可能性は高いでしょうか?」
医師「…高いと思います。詳しい検査は今後ありますが、肝臓にも影のようなものがあります。」
私「もし悪性だったら肝臓に転移ということですか?そうするとステージはいくつになりますか?」
医師「ステージ4です。」
私はもうすぐ2年前にもなることなのに、今でもこのやりとりをした時のことをはっきりと覚えている。
突然の夫のがんの可能性と転移、ステージの告知を聞いてどうしてあんなに冷静に先生の話を聞けたのか、淡々とステージは?と質問できたのかわからない。
夫が突然入院してしまい子どもたちを守らなければいけないのは自分なんだ、しっかりしなくては、という気持ちが支えてくれていたのか。
夫の癌の告知は電話で突然のことだった。
それまでの私は癌という言葉のイメージは、
ものすごく恐ろしい病気、大変な治療があってどんどん元気がなくなって、数ヵ月、数年のうちにはもしかして… というものだった。
でも、その後夫は手術をして、抗がん剤治療もして、今は元気で生きている。
夫が癌になったことで癌に対するイメージが変わり、自分の生き方や考え方も変わった。
この日のことを忘れないように…
今日今のこの瞬間生きていることは当たり前ではないこと、生きていることに感謝をすることを忘れないでいたい。