旅に出たい。


もしそうして旅に出るなら

目指すは北だ。


塩谷は漠然とそんな考えを

抱く。

そして彼はさらに思った。

どうして、あんな女達に

結婚してくれなんて、言った

んだろう?


いつの間にか、塩谷はその

考えを払拭したいと考えた

のか、頭を上げしく前後左右に

激しくシェークしている自分が

いた。

そしてその後、激しく髪の毛を

掻き毟ることにもなった。


そんな彼にとって、友人の狩野は

偉くお気軽な存在に見えた。

しかしその狩野の存在が彼の

気分を軽くしてくれるところがある

のは事実だった。


そこで塩谷はその狩野のケータイ

を鳴らしてみた。

しかし狩野のケータイからは現在

電話に出られないという旨の

メッセージが流れてくる。


しばらくして塩谷は自宅を出た。

とりあえず、彼は北に向けて

歩き始めた。

そして適当な店に入って、そこで

狩野を待ってみようと思ったのだ。


思いつきで行動に出る、そんな

塩谷の行動はこれからもおそらく

変わることはないであろう。


電話に出られないという狩野は

その日、仕事で東京には帰って

来ないのであった。