「ご出棺です」
ホーンを鳴らして車が動き出したら
大きくため息を ハァーーッとついた
「火葬場まで 30分ぐらいの道のりなので どうぞリラックスしてお過ごしください」
と声を掛けると
「あと30分なのね?本当に最後ね ?信じられないけどもういなくなるのね」
「看護師さんにね もう歳だからいいですよねって言われてね 死んでもいい歳ってあるのかな?って悲しくなっちゃってね。わたしもおじいさんと同じ歳だから 生きてたら迷惑かけるんですかね?
おじいさん、わがままだったし 大変だったけど頭のいい人でね。戦争の時は B29から一緒に逃げたり地震があったり 今もコロナで大変だけど もっと大変な時があってね
幼馴染だから 本当に子供の頃からずっと一緒でね
いつでもどんな時でも一緒に乗り越えてきました
これからわたし 1人なんですよね
どうしたらいいですかね?」
ってさびしそうに話してくれました
いくつになっても死んでもいい歳とか ないですよね
そこから故人さんとの子供の頃からの思い出をたくさん話してくれました
結婚してからは70年だけど 幼馴染だから80年以上側にいたんだって…
すごいね
喪主さんが作る水まんじゅうと水ようかんが大好物だったんだって…
これからは 近所の人や大切な人に作っていくよって言ってくれました
今日の霊柩車は ベンツ。
ベンツを愛用していて ベンツでよく旅行をしたそうです
いつもは故人さんが運転手だから
「おじいさん、運転してもらってベンツに乗るのは、はじめてね〜〜いいでしょ」
って
大好きなベンツで 最後の旅立ちにご指名いただきご縁を感じてます
86歳の生涯に…合掌