わたしが渡米した日はすでに9月に入っていたので、
NYU(New York University) の新学期はすぐに始まりました。


最初の学期はESL(English as a second language) のみだったので、
外国人留学生という立場でしたが、
そんなわたしのような学生のための大学内ツアーだとか、
週末にアメリカ人学生が連れて行ってくれる Field trip だとか、
そういったイベントにもたまに参加していました。


ニューヨークについて2、3日後に大学内のツアーがあって、
それは多分一番最初のイベントで、わたしも参加しました。

とても優しいアメリカ人の大学生の男の子が
わたしたち外国人学生を引き連れて、
大学のいろんな場所を案内しながら説明をしてくれました。

NYUは学費も高い分、
設備もあきれ返るほどFancy で充実していました。

Library gym もすべて美しくて巨大で最高級の設備!


お調子者のわたしは集団の一番前で浮かれながら
リーダーのアメリカ人学生と話しながら歩いていたのですが、
そのそばにヨーロッパ人の男の子がいました。

彼は静かで、
その日はわたしたちの会話を笑いながら聴いている感じでした。


その数日後に講義が始まったのですが、
わたしたちのクラスが行われていた
NYUの巨大なLibrary のなかの一室へ入っていって席に着くと、
少しして数日前に大学ツアーで会った
ヨーロッパ人の男の子が入ってきました。、

わたしたちはお互いに顔を見合わせて

「あれ~っ!!!」って感じで、ビックリ!
(あれ~っ!!!って日本語で言ったわけではないですが 笑)

NYUのESLはレベルも9段階で、
そのひとつひとつのレベルの中にもいくつもクラスがあるので、
同じ外国人学生でも同じクラスになるっていうのはそうとう稀だと思うのです!

わたしたちは60というレベルで、
ESLのなかでは高いほうのレベルでした。

80,90というのはProfessionalWriter のレベルで
学生というよりはプロの Journalist などが多く、
クラスの人たちはほとんどヨーロッパ人ばかりでした。
(わたしはその後90レベルまで全部受講しました。)

なので、留学生の大学生のレベルでは高いほうから2番目。

まあ、英語のレベルはともかくとして、
あの彼にまた会ったことには本当に驚きました!

彼はスペイン、マドリッドから来た若い Lawyer でした。
淡い茶の髪にグリーンっぽいヘーゼルの瞳。
優しそうでソフトなかんじの男の子でした。


彼とはなんか馬が合うというのか、すぐに友達になったし、
しかもものすごく縁もあったみたいで、
その次の学期でもまた一緒になり、
(2 semesters 同じクラスになったのも後にも先にも彼だけ!)
プライベートでも一緒にOpera を見に行ったり、Art museum に行ったり、
Ballroom dance のクラスを取りにいったり、
Acting のクラスでは Scene partner になったり、
とにかく仲良しでした!

あんまり仲がいいので、
わたしのルームメイトや大学の先生たちまで
わたしたちは Girlfriend, Boyfriend だと思っていたくらいでした。


けれどもそれは違ったのです。

でも、よく考えてみるとなんで???・・・って自分でも思いました。

彼は優しくてハンサムで、大好きだったし、
こんなに仲良いのに、なんで恋人になってないのだろう???

それはその後もずっとずっと謎でした。

頭では彼が自分のBoyfriend でも
全然悪くないと思うくらいに好感を持っているし、
彼もわたしに対して同じように感じていることがわかるのに、
なぜかそういうふうにならない!


・・・そのわけがわかったのは、実はそれから2年後くらいでした。

彼はアメリカ滞在1年の予定を2年に延ばし、
その後、スペインのマドリッドへと帰って行ったのですが、
彼が帰った後も
わたしたちは時々カードとか手紙とかでやり取りしていました。

そしてある時、彼から受け取った長い手紙で、
わたしたちが恋に堕ちなかった理由がわかったのです!


彼はGay だったのです。

それを知った時、ビックリしたと同時に、ホッとしたし
(自分に魅力がなかったわけではないっていうことだからね 笑)
また、妙に納得というのか・・・


"I didn't tell anybody about this,
but I wanted to tell you because you are my real friend."

・・・彼は手紙にそう書いていました。


わたしはもともとsexuality に対してdiscriminate するタイプではなかったので、
なんで彼は今になるまで言ってくれなかったのだろうと思ったのですが、
当時はまだ特にアジア人たちの間ではゲイを差別する声が結構あったのです。

そういえばわたしたちのESLのクラスで debate の練習をした時に
"Gay couples adopting children" というテーマがあった時に、
アジア人の多かったクラスのほとんどが "No" と言って、
ゲイの親なんて子供が可愛そうだとか言っていたことを思い出しました。
(あれでは自分はゲイだと言えなくても仕方ないわ汗

当時はアメリカではもうだいぶゲイの権利が認められていた時代だけど、
アジアではまだまだそういう感覚だったのですね。

なんだかビックリです。




Field trip・・・フィールドトリップ
Fancy・・・ファンシーな
Library・・・図書館
gym・・・ジム
Professional・・・プロの
Writer ・・・ライター(物書き)
Journalist ・・・ジャーナリスト
Lawyer ・・・法律家
semester・・・学期
Opera・・・オペラ
Art museum・・・美術館
Ballroom dance・・・社交ダンス
Acting・・・演技
Scene partner・・・シーンパートナー
Girlfriend, Boyfriend・・・彼女、彼氏
Gay ・・・ゲイ
I didn't tell anybody about this,
but I wanted to tell you because you are my real friend.
 ・・・このことは誰にも言わなかったけど、
あなたは本当の友達だからあなたにはいいたかったんだ。
sexuality ・・・セクシュアリティー
discriminate・・・差別する
debate・・・討論
Gay couples adopting children・・・ゲイ・カップルが養子を取ること




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