今年の初め、約20年にわたって4匹の猫を育てた生活が終わってしまった。
最後の一匹の猫が壮絶な一年間の闘病の末、空へと旅立ってしまったのだ。
猫との生活が終わり、大変な時もあったけど、それでも楽しいことばかり思い出してしまう。
最後の十年間は息子も一緒だった。赤ちゃんの息子をひっかいた猫もいた。幸い、目の近くだったけど、少し傷が残っただけで済んだ。
なんの前触れもなく、突然横たわって、旅立った子もいた。
食べたいものをたらふく食べて、太って、糖尿病になってしまった子もいた。
私の手の中で旅立ってしまったかわいい子もいた。
最後の子は、人間が寝ている間に、ひっそりと旅立ってしまった。
最近、朝4時半に起きて、散歩をするのが日課だ。
起きてから1時間はぼーっとしているが、5時半くらいになると簡単に着替えて、外にでる。
すると、近所でご飯をもらっているかわいい三毛猫が、いつもの場所で、朝ごはんを待っているのに遭遇する。
初めは近寄ると逃げてしまった。けれど、毎日顔を合わせていると、私を覚えてくれているのか、手を出しても逃げなくなった。
そして、体を撫でさせてくれるようになった。猫の大好きな息子も呼んできた。三毛猫ちゃんは息子を見て、逃げそうになったが、戻ってきて、撫でさせてくれた。
2日目は、息子が三毛猫に顔をうずめてみた。三毛猫は逃げない。それどころか、うれしそうに、気持ちよさそうにしている。そう、飼っていた、最後の猫のように。
3日目は、なんと三毛猫ちゃんが息子を見て、近づいてきた。ご飯をあげるわけではない、ただ、猫が好きで、猫を撫でたいだけの小学生男子に向かって。
こんな奇跡があるから、この世もすてたもんではないなあ、と思う。

