再び山に登れた喜び

この夏、久しぶりに山に登った。三十年ぶりに登った。
屋久島の森と 後立山の八方尾根。

屋久島の森は深く静かに迎えてくれ、どっしりしたお爺さんの穏やかなエネルギーを感じた。また妖精達が微笑んでいるような感じもして、『よき眠りのためのピアノ曲集』の最後の曲『妖精の森』が、繰り返し流れてきた。編曲が、この森にぴったりのイメージで、編曲された先生の凄さをあらためて思った。

屋久島の登山で、自分も再び山に登る力があるのだとわかり、その二週間後、八方尾根に行ってみた。三十年ぶりの北アルプス。広い！山も空も広い。
あいにくガスで遠くまで見えなかったけど、高山植物が咲き乱れ、鳥が歌い、蝶が舞い・・懐かしいこの光景が、私を三十年前にタイムスリップさせてくれた。小さな入れ物から広い世界に連れて行ってくれた。途中、霧が晴れ、広い空の向こうに峰々が姿を表してくれ、『大空のかなたに』という五年前に作った曲が流れてきた時には、命あることを心から嬉しいと思い、感謝の気持ちでいっぱいになった。
新しい曲が浮かぶ期待をしたが、残念ながらその大きな風景を表すに充分な音楽言語が浮かばなかった。
この２つの山行は、友人に誘われて実行できた。七年前に腰椎ｶﾘｴｽをわずらった私が再び山に行けるようになったのは、勇気ある友人達のおかげである。一人だけでは、かなわなかったことで、友人は実にありがたい大きな存在だ。

友人達に元気でいてほしい。そして、自分も大事な友人達のためにも身体のメンテナンスはきちんとしなくてはいけないと思う。