5年ほど前に、縁あって我が家にやってきた椅子。

イージーチェア

宝物のひとつ、北欧家具の巨匠、フィン・ユールのデザインした“イージーチェアNo53”。

あの時のあのタイミングを逃したら、おそらく一生私の手元にくることのなかった椅子だと思っています。

この椅子に座った時から、フィン・ユールというデザイナーのファンとなり、あの時の決心に“自分をほめてあげたい”とすら思ったりするのです。


北欧の椅子は、長い冬を家で過ごすための椅子だともいわれています。

ゆったりと座ることを基本に、座面の角度などもデザインされているのでしょう。
このイージーチェアも、一度座ると、立ち上がりたくなくなるのですね。

座ってしまうと、“ここは、私の場所”というような、自分の閉じた世界にいるような感覚がするのです。


北欧の椅子の特徴のひとつとして、椅子の背からみることもイメージしたデザインになっているというところがあげられます。
部屋のまん中に置いた時にも、デザインの魅力を感じます。

イージーチェア

リビングに入った時に、この椅子の背が見えます。
ただ、空間のカタチ的に、この位置がベストだということで、背を見せるためにこの位置にしているわけではないのですが、この丸みを帯びた背が好きです。


この“No53”という1953年にデザインされたこの椅子の大きな魅力は、動物の角のように彫り出されたアームの肘の美しさと心地よさ。

  イージーチェア 

少しくぼみのある肘に腕をのせると、先端が手で握るような位置になります。
この先端の少し上に反った持ち具合が、なんとも癒されるのです。

この癒しを求めて、この椅子を買う決心をした…というくらい、このアームに惚れこんでいます。

そんな、大好きで大切な椅子ですが、すっかり日常に溶け込んでいます。
子供が手すりにまたがったり、下を潜ったり、子供だけでなく、私も掃除機を足にぶつけたりしています。

子供が生まれる前から、ここにあるこの椅子。
子供にも、『ママの宝物の椅子』だと伝えています。

子供が大きくなって、この椅子が“フィン・ユール”という北欧の家具デザイナーの椅子だと知った時、身近にあったこの椅子と共に、この空間を過ごした日々を、ココロに残してくれるといいなぁ…と思ったりしています。

マイチェア・・・“ここが私の場所”なのです。