ココクリニックの森川です。

 

梅雨入り前のすっきりとした青空のもと、薫風が心地よいさわやかな日が続いていますね。皆様、いかがお過ごしでしょうか?

 

私の日課は朝と夜の犬の散歩なのですが、最近は空気が澄んで星空もきれいです。そんな星空を見上げると、2週間ぐらい前から南の空に明るい赤い星があることに気づき、気になっていました。火星が大接近して、スーパーマーズというらしいですね。さそり座のすぐ脇にくっきりと見えます。なんでも火星はいつもさそり座のすぐ近くにいるもので、さそり座の心臓部にあたる赤い星、アンタレスはアンチ・アレス(火星に対抗するもの)というのが名前の由来だそうです。そんな悠久の世界に想いを馳せると、日常の些事は忘れてしまいます。お仕事に忙殺されている皆さんもちょっと星空を見上げてみませんか?なんだかホッとして心が休まりますよ。因みにスーパーマーズ、6月12日ごろまでは良く見えるそうです。


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さて、今日は火星の話ではなく、子どもの脱腸のお話しをしたいと思います。

 

私は長い間、小児外科を専門として参りましたので(略歴はHP http://kudanshita.clinic/のスタッフ紹介をご参照下さい)、他の小児科の先生方より少しお腹を診るのが得意です

 

そんな小児外科の手術で一番多いのが脱腸です。脱腸とは俗名で、鼠径ヘルニアというのが正式名称ですが、鼠径って変な名前ですよね。脚の付け根の下腹部を解剖学用語で鼠径部と呼びます。その鼠径部に腹膜の袋が出ていて、その中に腸管がお腹(腹腔)から脱出してくるので俗名を脱腸と言います。でも、出てくる臓器は腸に限らず女の子では卵巣が出てくることもあります。

 

鼠径ヘルニアの発生頻度は満期産児(ふつうに生まれたお子さん)では2~3%、低出生体重児(体重が2500g未満で生まれたお子さん)では20%ぐらいです。学校の1クラスに1~2人いると思って頂ければよいと思います。

 

症状は赤ちゃんであれば泣いた時、大きなお子さんであれば立った時など腹圧がかかった時に、脚の付け根あたりが膨らみます。大きいものでは男の子の陰嚢まで膨らむものもあります。女の子で卵巣が出ている場合には、鼠径部にコリコリとした腫瘤(小さな塊)を触れます。


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鼠径ヘルニアは腸が出たり、戻ったりしている(脚の付け根が膨らんだり凹んだりする)状態では問題ありませんが、時にすごく腹圧がかかった時に腸が沢山飛び出して、元に戻らなくことがあります。この状態を嵌頓と言います。嵌頓状態になると、腸管が締め付けられて血液が流れなくなるため、そのまま放置するすると腸管が壊死(腐る)してしまい、腹膜炎などとても危険な状態になってしまいます。また、女の子で卵巣が出ている場合、卵巣が捻じれてやはり壊死してしまうことがあります。

 

という訳で、鼠径ヘルニアと診断がつけば、嵌頓する前に早期に手術をするのが望ましいです。

 

鼠径ヘルニアの手術は、腸が出ないように腹膜の根元をしばるというもので、乳児特に低出生体重児では慎重を要しますが、小さな目立たない傷で安全に行える手術です。私自身も1000人以上の患者さんの手術を執刀しましたが、大きな合併症はありませんでした。最近では腹腔鏡手術も普及して、さらに目立たない傷で手術する施設もあります。

 

以上、脱腸(鼠径ヘルニア)についてお話ししました。もし、お子さんが脱腸かなと思われたら(できたら膨らんだ状態を写真に撮って)、ぜひ九段下駅前ココクリニックを受診して下さい。熟練した小児外科医がしっかりと診断して、安心して手術ができる病院をご紹介致します。 私たちはココでココろのこもった医療を行います。