『なんぞころびやおき　地球慕情篇』

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峠杣一日・著

「ぎゃあああああああああああああああああああああああああっっ！！！！！！！！」

観音手鞠のお卅美(くわんおんてまりのおみみ)が如意(にょい)を掲(かか)げた空から煌々(くわうくわう)と降る念彼観音力(ねんぴくわんおんりき)が、お咲婆(おさきばばあ)の幻術(げんじゅつ)を破(やぶ)る。

「口惜(くちを)しや！

よもやこんなふざけた魔女っ娘(こ)ごっこなんぞに、この我等が斃(たふ)されるとはっ！！！」

お咲婆の大木が悉(ことごと)く桜の花片(はなびら)となって、風に散って消えてゆく。

観音娘(くわんおんむすめ)お卅美の如意は、観音力を喚(よ)ぶ。

音とは一(いち)(常の理とはのことわり・永久の理)を辛(刻む・現す)口(ありか・働き)で

命(いのち)(令(みことのり)の口(はたらき))の別名、また昇る太陽である。

観音力は、命の心。

それは、自他の勘違ひの迷妄念々(めいまうねんねん)を晴らす力。

私達は全て(身の回りも身も心も)、他から生かされてゐる。

だから他を生かす、生かし合ふことが生きるといふことであった。

その核心(かくしん)は自分の命の源(みなもと)である親(父母)に対して何を感じてゐるか、の一点にある。

自分の命の神は、親の他にはありえない。

因果(いんぐわ)といふのはひとつなので、ないとも言ひうる。

ない(に等しい)ものをいくら考へても決して分からないばかりか、迷妄念々に呑まれてしまふ。

ここでないといふのはひとつといふこと、相対(さうたい)ではなく絶対(ぜったい)といふことである。

原因にはどこまでも原因があり無限であり、つまるところ自他全てにあるとも言ひうる。

とまれかくまれ、命の故郷を再発見することが望ましい。

内なる親の命を通してしか、命の故郷には辿(たど)り着けない。

内なる親の命を蔑(ないがし)ろにしたり反発したままでは、外の神をいくら拝(をが)んでも無駄なのだ。

自分の命と親の命とは、実(じつ)に同じひとつのものである。

命は「父×母＝子」の三つ子の魂なのだから、至極当然(しごくたうぜん)宜(むべ)なるかな(いかにも)。

「未来×過去＝現在」「子孫×先祖＝自分」……全てはひとつなのである。

外なる神は自然の幸(さち)、さの神。

内なる神は親の命(いのち)、いの神。

これひとつ、さいのかみなり。

これが世の中の、人世(人生)の常理(じゃうり)、常の理(とはのことわり・永久の理)と呼ばれるものなのだ。

さてそんな観音力によって、お咲婆を容作(かたちづく)ってゐた迷妄念々の集合体は雲散霧消(うんさんむせう)した。

ポーズを決めるお卅美のコスチュームがバニーちゃんなのはご愛嬌(あいけう)。

【よいこのみんなの合言葉を唱へよう♪】

〽️

いやさかえ

いのちいやちこ

さいはひよいち

まほらとこいは

みつのたま

南無あれかし大明神！

つづく。

『なんぞころびやおき 地球慕情篇』⑰