妄想blです
再掲です
*o*
「和くんさぁ、うなされるんだよ」
和くんがここにきてひと月くらい過ぎた頃
相葉ちゃんが心配そうに眉をひそめてそう言った
「うなされる?」
「うん、夜にね、時々なんだけど……『いや』とか『やめて』とか……」
出会ったきっかけが妙だったこともあって
相葉ちゃんも俺も和くんがどこから来たとか、家族のこととか
そういう、ここに至る事情?みたいなものをなかなか聞けずにいた
年齢からしても元いた場所では社会人として仕事とかもしてただろう和くんがいきなりここで生活するなんて
元いた場所の人からしたら、失踪したってことにならないのかなって……そう思ってた
思ってたけど……それを聞いてしまうと
和くんがここからもいなくなってしまいそうで
怖くて聞くことができなかった
まだ出会ってひと月ほどだというのに
いなくなることが怖く感じるなんて
俺は和くんのこと……
いや……
和くんは俺が拾ったみたいなものだから
だから……俺は和くんに対して責任があって……
だいたい、和くんは可愛くても男なんだから
確かに……和くんの笑った顔とか……好きだし
でもそれは俺だけじゃなくて
相葉ちゃんとか常連のじーさんたちとか
みんな和くんのこと……好きだから
いなくなったりしたら、きっとみんながっかりするだろうし
だから……和くんには笑っててほしくて
もし、ここが和くんにとっていい場所なら
ここにいてくれるといいなって……
ただ、そう……思うだけで
「でね、あんまりうなされてるから俺起こそうと思って……部屋に入ったの」
「うん」
「そしたらね……」
「……なに?」
「う、ん……」
「言ってっ」
「あのね、和くんね、首を……絞めてたの」
「……えっ?くび?」
「そう、自分の首をね、こう……」
そう言って相葉ちゃんは両手で自分の首を絞めるマネをした
(2021.4.17投稿)
