蝉 | ryo's happy days

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思い切り人生を楽しむこと。これが全ての私。

今朝、10時前だかすぐ近くの公園前で蝉が鳴くのを確認した。

「もう蝉はワンワン鳴いているよ」と言われても部屋にいると私には聞こえない。

私はかなりの耳鳴りがあり、最近は悲しいかな雨の音も聞こえないし、蝉も全く聞こえないのだが

公園近くまで出てみて「あっ!蝉が鳴いてる」と確認した。

蝉の声は煩いほどであったのに、聞こえなくなると寂しいものだ。

今朝は夏の到来を蝉の声で確認してなんだか嬉しかった。

そのまま外出して「餃子」を食べた。美味!でも写真がない。ポエム「cocoringの部屋」

 信号を待つ公園の蝉しぐれ

連載小説「幸せのパズル3」その8

 畑には行かずじまいのまま、へとへとに疲れて我が家であるシェアハウスに辿り着いたのは、もう昼どきでリビングには佐知子が作った栗飯のおにぎりが大皿に並んでいる。

「作りすぎたのよ。よかったら食べてくれない」

 佐知子のフリルの付いた花柄のエプロンがリビングまで差し込む秋の光に可愛く揺れていた。

「わぁ、助かったぁ。お腹ぺこぺこなのよ。ちょっと着替えてくるね」

 恭一とそれぞれの部屋で着替えを済ませて、佐知子の作った栗飯のおにぎりを頬張る。

「うまい! うまいなぁ」

 佐知子が煎れたほうじ茶が香ばしくやっと人ごこちが付いた。一人暮らしならこうは行かない。「IO倶楽部」としてシェアハウスに入居したのが今年の春、それからもう半年が過ぎていた。それぞれの一人暮らしを畳んでここに入居した当時から不思議となんの不安も無かったが、今はこの四人暮らしがすっかり馴染んできた。カナエ、恭一、佐知子、そして陣の助の四人、皆お人好しで今年揃って一つ歳を重ね七六歳になる。

 

「しかし、驚いたよ」

 恭一がまず口火を切った。

「どうしたの、何かあったの」

 畑の見回りに行ったとばかり思っている佐知子が興味津々の声を上げた。

「あのね、川でとんだ拾い物をしたのよ」

「えっ、なに」

 恭一がかいつまんで話すと、その先をカナエが取った。

「あのさぁ、貯金通帳もあって二千万近くも入っててさぁ、とにかく本人の意識が戻ったら連絡します。だって。拾い主の私たちへ当然の権利として幾らかのお礼があるらしい」

「えぇっ、なにそれ、すごいじゃない」

「しかしなぁ、一体何で落としたかもわからんし、盗難とすればいよいよ持ってわからん」

「そうよね。何しろ、中身が何一つ盗られた形跡のないポーチだもんね」

 そうこうするうちに社交ダンスの練習に出掛けていた陣の助が帰ってきたが、この話が急展開を見せたのはその二日後のことだった。