お見舞いがやってきて朝食のデザートにメロンを食べた
「ありがとう」の電話をすると友人曰く「こんなときはメロンでしょう」
「そりゃそうだけど、、。まぁお酒じゃないよね」で電話口で笑った。
ことあるごとにいろんな方の愛情をいただく。本当にありがとう!
メロン食う痛み一瞬和らぎて
連載小説「幸せのパズルその2」11
カナエの携帯に海星からの連絡が入ったのは、それから数日後のことだった。海星の声は弾んでいた。
「おばさんにアドバイスして貰えて本当にありがとうございました」
「それでどうなの? うまく行きそう?」
「はい、なんとか方向が見えてきました」
佐知子とも連絡をつけると海星の居酒屋のバイト前の夕方にこの前と同じファミレスで集まる。
「結論としてはですね、全日制を退学して通信制に切り替えたらどうか、と事務局のアドバイスなんです」
「ほう」
二人は身を乗り出した。
「学校の方も詐欺の加害者が在校生だったことで、すごく遺憾に思ってるそうで、僕の被害状況を重くみてあり、今回は例外中の例外として授業料未納分の分割を考慮してくれるそうです」
「良かったじゃない! 学校に相談して」
「はい、おばさんの言われた通りでした。でも、事務局としては僕の家庭状況から今後を考えて、今なら全日制から通信制に移行することを許可するって言うんです」
「ってことは」
「今後のことを考えたら僕の家庭の事情も考えて通信制にしないか、と言われました。もちろん通信制になれば卒業までに三年掛かるし、また、美容関係の業務に携わっていることが通信制の条件なんです。でも学校の方で仕事は推薦しても良い、と言われるんです」
「全日制より一年遅れるってことね」
「それに美容関係の仕事も斡旋してくれるなら、そこでバイト料も出るし母の負担も減ります」
「ちょっと待って、そう言うことならおばさんだって考えがあるわ」
「何?」
「おばさんの行きつけの美容室だけど親子経営なのよ、でも娘さんが結婚してお腹が大きくなって仕事ができなくなり、一人、見習いを雇うって言うわけ。どう? ここなら保証するわよ。オーナーの人柄も良いし、娘さんが出て行った部屋が空いてて住み込みを探してるらしい。海星が通ってる専門学校にも見習いを一人、求人申し込みしてるんだって」
「えっ、なんという名前ですか」
「ミモザ美容室、学校からもおばさんちからも近いし」
「えっ、ミモザ美容室ですか? そういえば学校から紹介された見習い募集の一覧表に確かありました。住所がここらへんだったから覚えています」
「そこに決めなさい!」
「僕、高校生のときから母の仕事手伝ってたんで見習いの知識は一応あります」
「それは上出来よ。おばさんからもミモザのオーナーに推薦しとくわ。ぜひ、面接受けてみてよ」