ガレージセールをやると,本当にいろんな人が来る。売り上げ等どうでもいい小説家の夫は,人物観察の話ばかりしている。


車もいろいろ。バンパーが錆びついて破損した古い車で若い女性が去った後,夫は言った。


「学生さんなんだよ」と。


医師の日野原重明先生の本にはこう書いてあった。


「知人が二人の息子の医学部の合格祝いに車を買い与えた。しかも国立大は授業料が安いので外車でもいいとまで言ったらしい」。


人からバカにされないように,ご褒美として息子にいい車を買い与えたのかもしれないが,親の方がバカにされますから...。本に書かれた方はたまったものじゃないだろうけれど,具体的なエピソードは説得力がある。


レストランで食事を運んでくれた人が若いと,夫はたまに学生かどうか聞いている。学生だとわかると,何を勉強しているのかを尋ね,がんばりなさいと励ます。サービスの質の良し悪しではなく,授業料を自分で稼いでいるのだと判断してチップを多めに渡す。


アメリカの店で日本人的な気遣いが足りないのは当たり前。期待し過ぎてはいけない。


車もなければ健康保険にも加入できなかったという夫は,自分の学生時代の経験があるから共感できるのだろう。親からの仕送りはゼロで,渡米した頃はヒッチハイクで大学に通っていたと言う。


我慢する時期もある。そして人の痛みもわかるようになる。