1月中旬の大雪の日は,夫の父方の親戚のお葬式に参列した。毎年誕生日とバレンタインデーにはカードを贈っていた方で,誕生日カードを贈る直前に旅立たれた。最後にお会いしたのは,パンデミック直前のサンクスギビング。...また一人,お別れをした。


お葬式といっても,遠方の州に住んでいらしたので既に年末にそこで正式な葬儀と埋葬は済んでいる。ミシガンには故人の親戚が多いため,ここでもミサが行われた。故人に近い家族がいなかったり遠方に住んでいたりする場合は,近くにいる親戚で協力して行われる。この数日間は大雪だったので,最も関係が近いシカゴの親戚(故人のめい)は参列できなかった。


葬儀後の食事会では,たまに親族の集まりで見かける女性も参加されていた。親戚には違いないと前から気になっていて,隣に座っていた夫のはとこに聞いてみた(夫に聞いても「何らかの関係はある」という答えにならぬ返事しかない)。


「彼女は,私のいとこの姪だよ」と。遠い関係だとは思っていたが...やはり遠い!つまり,うちの夫のはとこ(私が会話している人)の...母の弟の子どもの配偶者の兄の娘さんといった関係。


夫のはとことその配偶者・兄弟姉妹と子どもまでは何人か知っているけれど(これもかなりの遠縁),姪ごさん...これを親戚と呼び,親戚付き合いがあるところがスゴイ。自分の血縁で考えるといかに遠縁かがわかる。自分が有名人になった時に名乗り出て来られたとしても,親戚じゃないですねとフツーは言う関係だ。


昨年は,夫の母方(ハンガリー人)の従弟の奥さんの甥に,娘さんが生まれたというので,お祝いに洋服や靴などを10点ほど郵送した。ヨーロッパなので新品の商品にはVAT(付加価値税)がかなりかかる。そこで,日本人による蚤の市(6月)で古着を購入。古着と言っても,日本の物は上等だから!さらに,ルーマニアへの郵便事情は悪いので,ドイツの友人宅に郵送して欲しいと言われ...8月に孤児のボランティアキャンプに参加する友人が,車でオーストリアとハンガリーを経由してルーマニアまで運んでくれた。


...そして,ようやく赤ちゃんの元へ届いたそうだ。渡したと聞いたのみで,受け取り人の名前すら知らない。間接的に夫の従弟のための贈り物で,大変な手間であったが終わりよければすべて良し。


夫の親戚では100人以上は顔・名前・続柄が一致していると思うけれど...特に年齢の低い子は数年会わないと顔もどんどん変わる。年明けのお葬式では初対面の親戚という人達ともたくさん握手をした。ただ,いつものようにその場を乗り切っただけで顔も名前も一人も覚えておらぬ。


結婚式に750人を招待するくらいなので...

日本のように職場の同僚が多い披露宴ではなく,数百人は親戚ということになる。結婚すればまた増える。


で,夫に言った。「あの人には前も会ったって?一度や二度会ったくらいでは,誰が誰だかわからない。ましてや亡くなっている人や会ったことのない人は,ホントに覚えられないから」。第一,夫だってわかっていない。


一方,ミラノの義姉(夫の姉)は私の叔父伯母(父親の姉弟8人)の名前なんかも覚えたいという。何でまた...会うこともなかろうにと思うが,フォトグラフィックメモリーの持ち主だから,家系図の一覧表を見ればすぐに記憶できるらしい。イタリア語やスペイン語は簡単だからいずれも3か月で習得したそうだ。


日本で親戚付き合いを避ける傾向にあるのは,わかる。金銭的負担が大きく,相手に合わせてお返しをしなくてはいけないし,七日ごとの法要も大変である。着るものや所作についても細かい決まりがある。ここでは,お葬式でも故人の息子が赤いシャツにデニムだったり。スニーカーやサンダル履きの人も多く,黒のシンプルなパンプスとか私くらいだろう。お葬式が終わる頃に来る人もいるし,基本的に香典のような金銭は渡さない。


ちなみに,夫がうちの両親に初めて会った時は,家系図を持って来た。どこの誰だかわからぬ外国人との結婚は...という親の困惑を払拭すべく,夫の親戚がコピー用紙30枚分の家系図を糊でつなげて巻物を制作してくれたそうだ。


教員をしていた頃は,新学期から3日で40名の児童の顔と名前を覚えていたが...やはりトレーニングが要るし,記憶力の低下に加え,もう覚えること自体を放棄しているとも...。


日本の友人に,「いまだに外国人の顔は皆同じに見えるんだよ」と言ったら,驚かれた。というか,呆れていた。微妙な醬油の味の違いはわかっても,オレガノの違いはわからないようなものか。