コロナが収まったらやりたかったこと(収まっていないけど),それはアメリカでの献血。日本では何度かやったことがあり,最後は日本を出た年だった。

 

アメリカでも赤十字社の献血車は見かけていたものの,もちろん全部英語だし,何といっても基本ユニットは1パイント(470㎖)ということがひどく躊躇させていた。そして,遠くから来た日本人がわざわざ...といういつまでも移民のお客さん気分が抜けなかった。できない理由をいくつも並べるのはいつものこと。アメリカの恩恵に預かるばかりでは,いつまでたってもアメリカ社会の一員にはなれないのである...。

 

初めてで心配なので,かかりつけの内科医に献血したいが大丈夫かと一応確認。かかりつけ医システムは何でも気軽に聞けるところが安心だ。

 

日本では200㎖と400㎖があったが,400㎖は筋肉隆々の男性…というイメージを抱いていた。アメリカの場合は,Power Redという赤血球を2倍採るする成分献血も。血漿と血小板は体内に戻すようで,時間もかかるらしい。Power Redという名称からして怖そうで,ハードルが高くて無理…。

 

同窓会出席から10日経ったギリギリの前日に,赤十字社のサイトで予約した。当日にオンラインのラピッドパスを済ませておけば,献血時に15分間ほど短縮できるとあった。人と話す時間を減らせるし,わからない単語を一人でゆっくり調べられるので他の人を待たせることもない。オンライン申込時の問診項目は約80個で,当日は免許証を見せて受付けをし,問診時にスマホのラピッドパスのQRコードを見せる。


準備としては,水を470㎖飲むことと十分な睡眠。帰宅してからは無理できないだろうから,軽い運動をしてシャワーを浴びて,庭の手入れと夕食の支度をしてから出かけた。

 

問診を先に済ませていても,対面で30分くらいかかる。直接の問診は,身長・体重・国籍やコロナ関係の簡単な項目のみ。体温・脈拍・血圧・ヘモグロビン値(12.5g/dL以上)の測定をし,パソコン画面の同意書を読んでサインをする。

 

会場は地元の図書館。簡易ベッドが4台設置されていた。「日本では200か400㎖で,随分昔に200㎖をしたきり」と担当の人に話すと,「日本は200!?それは献血トリビアね!いきなり2倍以上なのね」と。もう一人の若い担当者も「日本人の献血は初めてだよ」と言っていた。

 

2時の予約で,終了後の休憩15分間を入れてちょうど3時に会場を出た。スポンジボールを握ったりゆるめたりに集中しているとあっという間で,献血自体は10分くらいだったと思う。

 

具合が悪くなることもなく,むしろヘモグロビン値を測定するために指先を切った採血の方が鋭い痛みが続いた。 

 

終わると,「終了後24時間は,アルコールやカフェイン飲料は禁止,重い荷物を持たない,過度な運動はしない,水分を多く摂ること,そしてゆっくり過ごすこと」等と書かれた用紙をもらった。

 

椅子に座って他の人の献血の様子を見ながら,チョコチップクッキーとブドウジュースを頂いた。グミやリンゴジュースなど種類はたくさん置いてあり,好きなものを選んでよい。献血者の皆さんはものすごくリラックスしていて,コンビニにでも立ち寄るような慣れた感じを受けた。何度も献血されているんだろう。平らで硬いベッドなのに,左手でハードカバーの本を持ち上げて読みながら献血している人も。


470㎖は多すぎて無理だと思っていたが,それは日本と比べるから。日本の量を知らなかったり基本料がこれで当たり前だとわかっていたりしたら,驚くことも躊躇することもない。「日本ではこうなのに」といちいち比べないようにすれば,断然生きやすくなる。

 

8週間以上おけば次の全献ができるそうで…と,比べないと書いたばかりだが日本はどうなのかと調べてみたら,「400㎖/女性」の場合は16週間開けることとある。

 

次に向けて健康でいなければという意識も強くなった。やり方はわかったことだし,無理せず半年に一度程度のペースでライフワークの一つとして続けられたらと思う。


非常に気分の良い午後であった。