先日,夫の高校の同窓会について行った。何十年も前に卒業したというだけでなく,イラクのバグダッドにあった高校の同窓会。しかも,開催場所はミシガンのLivoniaのホテルで,3日間の大イベントだ。

 

Noviで開かれた2009年以来の参加だから,実に13年ぶり。

 

皆さん,頭髪が薄くなったり体格が良くなったり(=ハゲたり太ったり)ではあるが,夫は「骨格で誰だかわかるんだよ!」と。特に頭髪が薄くなると,後頭部がよく見えるから。

 

大学専門高校という名のこの私立の男子校は,大昔に政府機関によって閉鎖されたにも関わらず,今でも同窓会が開かれ,「卒業生は皆兄弟」と言って結束が固い。教科はほぼ理数系のみで,アメリカ人教師による英語とアラビア語の2カ国後で授業を受けたそうだ。アラビア数字とは言うが,数字は123のアラビア数字ではなく,数式も文章同様に右から左へと書く。もうこれだけでも大混乱!

 

参加者は170人で半数近くが女性,つまり同伴の奥さん。食事も,これまでのパーティで見たこともないような種類と量で豪勢でバイオリニストやバンド演奏者も一流。全身シャネルとかキンキラキンに固めた女性の多いことといったら...。インフレなんかは全く関係のない,まぁそれはそれは派手なパーティでした。

 

昔,パーティに出かける前に夫に「ブレスレットは?え,持ってない!?今から買いに行けないし,どういうことだ...ブレスレットがないなんて」と非常にビックリされて,いやこっちがビックリだよと思った。

 

それもそうで,皆さん,宝石がごってりついた金のブレスレットやら何やらかんやらをいくつもつけている。バッグはもちろんシャネルで,膨大なアクセサリーはいくら何でもやり過ぎで下品にさえ見える...冗談かと思ってしまうほどのハイブランドと宝石っぷり。日本と違って高齢者ほど派手になり,芸能人か何かですかとさえ問いたくなるいでたちだ。


私などは,何しろコロナ禍において初めての大きなパーティで,何も考えずに地味なベージュ色のスーツと黒のシンプルなバッグで行ってしまい,えらく浮いていたような...。楽しみにしていた夫はスーツもシャツも靴も新調したけれど,私は付いて行くだけだしと軽く考えていたから。 

 

参加の有無は口約束のみで,参加費が恐ろしく高かった(最初示された一人分の料金は二人分か,二人分でも高過ぎると思った)のだが,会費は当日の受付で現金払いというもの。参加するといって参加しない人がいるんじゃないのと心配したけれど,夫はみんなちゃんと来ると言う。受付は札束の山であった。

 

さらに驚いたのが,パーティ開始前にマスクを着用していたのは我々も入れて確かわずか5人だったこと。同じテーブルに医師が2人いて,「マスクは無意味だから(外して)」と冷ややかに言われた。病院ではマスクをつけるように患者に言ってるんだろうが,プライベートの華やかな場でマスクなんかされたらパーティムードをぶち壊すってことだ。本人の意志は関係ない。ただでさえ,東南アジア人は私一人で目立ったろうし,地味なスーツを着てマスクまでつけるのは...大変な勇気が要る。

 

夫と「みんなが着用してなくても我々はマスクを死守する!」と誓って出かけたが...あっさり崩落。2週間は症状が出ませんようにと祈りながら過ごした。

 

ハグにキスに,握手,そして見知らぬ人と手つなぎのアラビアン・ダンス。コロナは何処へ行ったのか?という世界だ。

 

パーティは楽しく幸い感染はしなかったけれど,出費もカロリー(塩分)も感染リスクも高いのでしばらくパーティは行かなくてよい。アメリカは学校も学年末を迎えて旅行シーズンの始まりで,皆他国へ旅行に出かけている。ただ,激しいインフレで何でも大幅値上げで,燃料費の増加や労働者不足は深刻だ。飛行機のキャンセルのニュースを見るし…周囲ではまだ感染者も多いのに,薬局の薬剤師さんもマスクはしていないし。 

 

同窓会は,また来年もやるとか別の州でもとかいう盛り上がりだった。宴もたけなわではあったが,記念のカップとバインダーをもらって,深夜12時頃会場を後にした。