昨年の初夏,庭に大きく生長したユリを見て…ショック。葉っぱに何やら真っ黒いモコモコしたものがいっぱいついているではないか。き,気持ち悪い!水をかけながら何とか流したが,葉の被害が甚大。早速Home Depot(ホームセンター)に行って店員さんにも聞いてみたけれど,誰もこの虫について知っている人はいなかった。適当に駆除スプレーを買って来て大量に散布。効き目は全くなし。
隣人に,お宅の庭のユリも大被害だよと知らせてみたら,「それはてんとう虫では?」と!違う,全然違う。てんとう虫は幸運の象徴だけど,これはどう考えても害虫!ネットで検索してみると,これはlily beetles(ユリクビナガハムシ)という害虫のフンであることがわかった。去年までは何の被害もなかったのに…。
体長7㎜ほどのオレンジ色の害虫だが,特にフン付きの幼虫(1cmほど!)は気持ち悪いので画像は載せない。
調べたことをざっと訳してみると…
「最初に発見されたのは約50年前のカナダ東部。アメリカでは2012年にオレゴンとワシントンで発見された」。比較的新しい害虫なんだ…。
「春の初めに手で取ること。ぴちっとしたビニール手袋をはめ,洗剤を溶かしたお湯を入れたカップに落とし入れるかつぶす」。つぶすのは気持ち悪いので,サランラップを小さく切ったものに包み込んで処分している。
「人の気配を察知したらすぐに地面にぽろっと落ちて,ひっくり返ったりものすごい速さで土の中にもぐったりする」。色もオレンジ色で目立つし飛んだりしないので,そこはたやすい。地面に落とさないように,紙タオルなんかを敷いておくのもよいだろう。見つけたら素早く。逃してはならない!
「茎の股にいることも多く,あらゆる角度からくまなく目視すること。週に最低2,3回はチェック」。いや,そんなんでは全然足りない。最初が肝心で,毎日2,3回。今年は,隣人の庭も最初の6日間(5/10~5/15)に徹底的に処理した(毎日10匹ほど)ので,その後成虫は全くいない。この2日間は幼虫を見つけたが,先週見つけた成虫のものだろう。既に5本ほど根元の方に被害を受けた。去年の経験から,いったん増えたら増え続けて長期間に渡って駆除作業が続くので,今ががんばり時。来年は5月に入ったらすぐに点検したい。
「一匹のメスが3,4週間で産む卵の数は450個にも及ぶ。卵(オレンジがかった茶色・葉の下側に列状に並ぶ)は,1,2週間でかえる。幼虫(ナメクジっぽい)は3,4週間葉を大量に食べ,背中にフンを背負う!土の中でさなぎになり成虫になって土から出てくる。そしてまた葉を食べる。成虫は土の中で越冬して春に出てくる」。何としても今年こそ,根絶しなければいけない!
殺虫剤はNeem Oilと呼ばれるもので,Neem Treeから採れるエキスらしい。ホームセンターに売ってある。幼虫に効くということで散布してみたが,効き目があるのかいまいち実感できなかった。数本ならこれでもいいが,100本以上のユリなのでコストもかかる。
「放っておけば葉っぱが全滅する。ユリにおいては新芽は出ないので,その年の花は咲かない。翌年以降にも影響し,場合によってはユリ自体が死滅する」そうだ。永遠に咲かないということになったら大変!
昨年は下半分(幼虫は根元近い葉にいる)は葉が食いちぎられて無残な姿が多かったが,何とか例年通りに花を咲かせてくれた。しかし,泥のような真っ黒なフンを背負った姿は,それはそれはおぞましかった。思い出すだけでもゾッとする。
ここまでしてがんばるのは,多年草のユリが本当にゴージャスだから!!ネットにも「あきらめてはいけない。ユリは投資だ。初夏に処理しておけば,美しく香り豊かなユリがご褒美になる」と。この害虫さえ処理すれば,あとは何もしなくても毎年たくさんの豪華な花を咲かせてくれるのだ。
昨年の秋,知人のアメリカ人にオレンジ色のユリ(タイガーリリー)を分けた。植木鉢のユリをもらうことも多く,年々広がり続けて玄関までの通路に差し掛かってきたから。花粉をこまめに取らないと,来客の洋服についたら大変なのだ。害虫の処理も大変だし。「ここの3本くらいあげるよ」とテキストメッセージを送ったら,雨の降る中,彼女は大きなシャベルと段ボール箱を持って作業着でやって来た。そして自分でガンガン球根を掘って,あげる予定のなかった大きい株をどんどん段ボールに入れていって…。ナント遠慮のないことよ。また増えるからいいか,喜んでいることだしと夫と話した。害虫のことは知っているということなので,安心。よそのお宅でも,きれいな花を咲かせているとよい。
早いユリはもうつぼみをつけ,隣人も喜んでいる。今年の花も楽しみだ。