昨年,中国人の友達から「息子がSushiが大好きだから,作り方を教えてくれない?」とテキストメッセージが送られてきた。「いいよ!偶然だけど,さっき済ませたうちの夕食もお寿司だった」と返信をしたが,しばらくして,はたと思った。うちで食べたのはちらし寿司だったので,ちらし寿司ねとすっかり思い込んでしまっていた。もしかして,日本食レストランで出されるような生魚の握り寿司を想像しているのではないか…?「Sushiにもいろいろあって,握り・稲荷・巻き・散らし・押し寿司など。で,教えて欲しいのはどれ?」と問うた。「そんなに種類があるなんて知らなかったわ。Roll(巻き寿司)のことよ」という返信。…確認してよかった。
当日。友人宅に着いたら,既に試作品がテーブルにずらり!元レストラン経営者だから,作り方も推測し,アボカド・キュウリ・エビ・タコ・牛肉・カニカマ・パクチー・ニンジン・真砂・ゴマ…具も自分で工夫していろいろそろえてあった。

さらに,私が持参した具(シイタケと人参の煮物・スモークサーモン・卵焼き・花型人参)で,ちらし寿司や押し寿司なども作って,テーブルの上は寿司づくしに。
そして,満を持して「チャイニーズスタイルの寿司を作る」とカウンターの向こうで意気込む彼女。できた巻き寿司がこれ!

「具は何だと思う~?」と聞かれたが,さっぱりわからない。大きな空洞がある白・茶色の乾物に,パサパサした茶色の毛のような粉がかかった具。皆目見当つかず。
すると,Chinese Fried Bread(中国の揚げパン)と書いてある袋を見せてくれた。パンですか!揚げパンを巻き寿司の具にするという発想にも驚いたが,フェルトを粉状にしたような茶色のパウダーは,何と豚肉!その名もChinese Dried Shredded Porkで,2リットルくらいのプラスチック容器にたんまり入っていた。味付けされているらしくて,そのまま麺の上に乗せたりサンドイッチの具にもしたりできるようで…ちょっとだけ分けてもらった。
この巻き寿司は, カラカラに乾いた触感が何ともつらかったが,揚げパンだけに食べ応えはあった。まぁ、初めてアボカドの具を見た日本人もびっくりしたであろうから,パンが一般的な具になる日も来るかもしれない…何でも具になるということですな。イタリア人なら,スパゲッティを巻いたりとか(笑)。これは細長くて巻きやすそう。
食事に行くたびに,見たこともない調味料や食品を斬新な料理法で調理してくれるので,新しい味にチャレンジ。つくづく,「堅い頭ではいけないなぁ。何事も発想を変えて…」と思う次第である。