人それぞれ…といってしまえばおしまいなので,知っている範囲でアメリカにおいてのツリーはいつ出していつ片付けるか,ということについて書きます。

 

アメリカのサンクスギビング(11月第四木曜/カナダは10月第二月曜)には,家族や親類が集まって食事をするのが一般的ですから,アメリカの場合はこの集まりの日には必ず室内装飾が完了。最も早い年では,昨年のように11月22日になります。

 

吹き抜けの天井に届くようなツリーを飾っている豪邸では,10月に飾り付けをして2月に片付けると言っていました。…ハロウィン・バレンタインは無視するということですネ。

 

アメリカ人の知り合いに12月26日に片付けるという人がいますが,日本っぽい。うちでは,雪だるまのような飾りや小物を除いて1月6日の公現日(Epiphany)の翌日から3日ほどかけて片付けます。ということで,今日大体終了予定。

 

ある年にバレンタインデーに親戚の家に行ったら,まだツリーが飾ってありました。ちなみに,掛け時計の針もサマータイムのままでしたが…。

 

片付けない,というのもありです。驚くのは,「2年に一度片付けてクリスマスの飾りのほこりを払う」と言うアメリカ人の友達。キッチンキャビネットの上にずらりと並んだビレッジだけではなく,家じゅうクリスマスのままでした。5月にお子さんの卒業パーティーに行ったら,室内にはクリスマス&卒業グッズが共存。せめて,テーブルの上のミニ・ツリーは片付ければいいのではないかとも思いましたが,中途半端にやるよりは意志を持って飾っているということにした方がいいのか…。

 

最も大変なのは,キッチンのキャビネットの上の装飾物です。台所の作り付けの棚と天井の間には30㎝ほどのスペースがあり,ここに季節ごとの飾りつけをします。この高い所に重く繊細な作りのビレッジハウスや小物,雪にガーランド等をきれいに並べて,電気のコードをつなげるのはかなりの労働です。私は絶対にムリ。日本だったら,すき焼鍋とかホットプレートなんかを収納したくなる場所でしょうか(笑)。

 

日本ではクリスマスの飾りつけと言ったら,ツリー,リース,そして観光地のライトアップくらいしか記憶がないんですが,ここでは家じゅうがクリスマスになります。人形やビレッジ等の置物,ドアマット,タオル,クッション,食器…。うちにはありませんが,シャワーカーテンやベッドの掛け布団までクリスマス柄のものが売られています。気分は高まりますが,1年のわずか2か月間だけのために出したり片付けたり大変です。地下に収納スペースがあっても,持っていたことすら忘れてしまいそう…。

 

大きなクリスマスパーティになれば,コートをかける場所が足りませんから,寝室のベッドの上にコートを積み重ねることもよくあります。他人が夫婦の寝室に入って来るわけですが,室内を見せることを誇りに思う文化でもあり,気にする人はいません。多少散らかっている場合もありますが,大抵は完璧にクリスマスの装飾が施されています。

 

まるで家じゅうが違う部屋になるほどなので,地下室から運んで出すのも一苦労。高齢者の間では「来週孫が来てやってくれる」とか「息子の都合がつくのは明後日」という会話が聞かれます。近所に「クリスマスそのものというより,それまでに少しずつ飾りつけなんかをする準備の方が好き」という方がいますが,装飾を楽しむ文化ですから,よくわかります。私の周囲では大体11月中旬頃に飾る人が多いようです。

 

若い方々は皆仕事や子育てに忙しく,クリスマスに時間やお金をかけることができないと思います。飾りつけ・カード送付・パーティの他に,プレゼントを買って自分でラッピング(日本のように店ではやってくれない)をして,クッキーやケーキ(フルーツケーキやガトーショコラ等)を焼いて皆に配って…まともにやれば時間がいくらあっても足りない。私の知る限りでは,時間やお金に余裕のある高齢者のお宅ほど室内装飾はすばらしく,長年かけてみがかれたセンスが光っていると思います。

 

とはいっても,高齢になると時間はあるけれど飾りつけはひと仕事なので,専門の業者に頼むことも。渡米した頃にポストにHoliday Decoratingと書かれたチラシが入っていたのを見た時は驚きました。このチラシには,ツリー・ビレッジ・暖炉・階段・ドア周りの飾り付けを11月1日から開始すると書いてありました。

 

ちなみに,3年ほど前に聞いたのは,カエデの木一本の電飾を業者に頼むと100ドルだとか。極寒の中,ライト(レンタル?)をきれいに取り付けて約2か月後に外すまででしょうから,そのくらいするのか…。クリスマスは,日本でいうと神様をお迎えするために豪華なお正月飾りをするようなものでしょう。

 

近所に毎年,家屋と庭をド派手に飾りつけする家があります。遊園地のような華々しい飾りが通りから見えるのですが,夜に家の前まで行ってみたら…奥行きのある広い庭一面がクリスマス!サンタや雪だるまなどの1つ1つの電飾人形がよく見えないほどまぶしくて,奥の方では大きなメリーゴーランドも回っていました。あっけにとられて眺めていたら,別の車も入って来て写真を撮って去って行きました。一見の価値ありかも。

 

ミシガンは寒いので,冬の間はフロリダで過ごす人も多くいます。そうすると,外の飾りつけをしたまま春まで帰って来ないということに…。近所の人で,家族や知人など誰にも頼んでいなかったのでしょう,「2月なのにいくら何でも」という話が出て近所の人たちが数名集まってはしごを使って片付けていました。季節のものをちょうどいいタイミングで飾るということは,外観を保つという上でとても重要なことです。よくわからないという場合は,近所の人のタイミングに合わせればいいと思います。

 

うちでは,クリスマス柄の食器は11月から1月末頃まで使います。個人用の大皿・スープ皿・デザート皿,盛り付け皿,ナッツ皿,フル

ーツ皿,ワイングラス,バターナイフ,クッキージャー,キャンディ入れ,コーヒーカップ,(ペーパー)ナプキン…。気に入った食器を買っておけば一生使えます。赤色のクリスマス柄のついた食器(主にThe Great Indoorsで購入)は,暖かみがあって質素な食事を豪華に見せてくれます。

 

そういえば初めてクリスマスパーティに招かれた時に非常に驚いたのが,みんなクリスマスっぽい身なりをしているということ。赤やノルディック模様の編み込みのセーター,リースの形をしたブローチやネックレスを身に着けている!何にもしていない自分は浮いているように思えて,すぐにクリスマスモチーフのアクセサリーを買いました。慌てて買ってしまったのですが,これもお気に入りの物が1つあればいいでしょう。

 

昨年は庭の雪だるまの電飾人形を処分(ライトが切れて古びてきた)したので,今年のクリスマスには何か大きな庭飾りを買いたいと思います。