11月下旬のある日,夕食の後片付けをしていたら,電話が鳴った。上海に住んでいる中国人男性の友だちからで,「30分後にお宅に行くから」というもの!出張でミシガンに来ていると言う。これまでにも,出張で来ているから今日とか明日会おうという突然の連絡はあったけれど,30分後とはまた最短記録だ。あまりにも突然のことでびっくりすると,3日前に主人の携帯にメッセージを送信していたと言うではないか…見落としか…しかしそんなことはもうどうでもよく,とにかく急げ,だ。大慌てで,食器を片付け,部屋を整え,着替え(主人は既にはんてんを着ていた),お茶の支度。中国からはるばる来ているのに,出せるような大したものがない。しかも,夕食は済ませたか聞くのを忘れた…済ませてきたと言われて安心したけれど,本当だったかは不明。
Short noticeという言葉を知ったのは渡米してから。アメリカではあまりこのshort notice(急な知らせ)というのはない。隣の家の人でさえ,「ちょっとお宅に行くから」と事前に電話か携帯メッセージが届くのが普通だ。
日本の実家は田舎なので,連絡をしてから来る人などほとんどいなかった。日曜日の昼頃,親戚家族5人がいきなりやって来て昼食を出すというようなこともたまにあった。前もって知らせておけばあらたまり過ぎて過度な準備をするだろうからという気遣いもあるだろうが,「今から出かけるところ」・「食材が十分にない」・「よれよれの部屋着で寝起き」とか,まあいろいろ不都合な面が多い。特に休日は予定があったり疲れていたりする。相手は「気にしないで」とか「あるもので結構」と言うかもしれないが,気にするのはこちらの方だし第一あるべきものがないから!散らかった部屋によれよれの身なりで客をもてなす人はいないだろう。
お菓子も果物も家で食べるようなものしか置いていなかったから,普段からましな物を用意しておかないと…と反省。勝手に命名したが,日常からきちんと過ごして備えておく「普段力」がものを言う。突然の来客を迎えるまでに何を優先するかは人や状況でそれぞれ。片付けや掃除,衣服などの身だしなみ,お茶やお菓子の支度…今回は30分でほぼ全てざっとやれたからいいけれど,喉元過ぎれば熱さを忘れるにならぬようにしたいところ。
ちなみに,この友人とはYanniのコンサートで初めて会った。たまたま私達夫婦の席の隣に座ってらして,帰り際に友達になりたいと言われて電話番号のメモをもらったのがきっかけだ。中国に引っ越された後も,電話や手紙のやり取りをし,たまに出張で来られる時に会う。豪勢な食事やぜいたくな贈り物などは好まない気の置けない友人なので,我々が謝ると「We made it!(会えたじゃないか!それ以上何を望む?)」と喜んでいたから助かった。
ホリデーシーズンは,突然パーティが開かれたりキャンセル(延期)になったりして非常に予定が立てにくい。クリスマス飾りは11月5日までに終了し,カードは12月5日までに郵送終了を目標にして,普段力でもって落ち着いて過ごしたい。