今年はまだだが,年に一度かかりつけの内科で健康診断を受ける。検査結果は,お医者さんが直接電話で知らせてくれるが,ほとんどが翌日の夜8時といった遅い時刻だ。オンライン上でも検査結果は確認できるが,言われた数値や注意事項なんかをパパッとメモしていき,再検査などの必要を確認する。

 

このお医者さんは,弁護士になるための学校(Law School)を首席で卒業した後に医者になった優秀な先生。風貌からも優しい人柄がにじみ出ているが,とにかく穏やかだ。私が行く病院はいずれも日本語を話す医師も通訳もいないが,このお医者さんの言葉はまるで日本語を聞いているかのように心地よい。

 

さて,3年前の電話では「ポタッセウム値がやや不足気味なので,スイカやオレンジなどを心がけて食べるように」と言われた。はて?ポタッセウム…とは何ぞや。個人情報なので,夫婦間とは言え検査結果を聞けるのは本人だけである。電話を切った後,「ポッサム(動物)じゃないしねぇ?」と思いながら夫に聞いてみたら,カリウムのことであった。英語でpotassium。カルシウムやマグネシウムは,英語そのままなのに何故カリウムはドイツ語なのか…。

 

カルシウムや鉄分不足などには陥りやすいとはよく聞くから気をつけないと…とは頭にはあったけれど,カリウムか。レモンの栄養素はビタミンCというのは一般に知られているが,果物についての栄養素については特に考えたこともなかった。日本での果物は高級品で,「栄養」を摂るための日常的な食物ではなく,なくてもよいお菓子のような装飾的な位置づけだった。夏だからおやつに冷たいスイカ,お客さんにスイカ,水分補給にスイカ…くらいの認識。

 

お医者さんに言われたようにスイカとオレンジをた~んと食べたお陰で,一年後には数値もぐんとアップして正常値になり何とか維持。冬にオレンジ(果実かジュース)を毎日,夏にはスイカを毎日。飽きないどころか,好きなのでよかった。


しかも,果物類は本当に安いのでありがたい。先日買ったスイカ(楕円形/種なし)は,全長16インチ(約45㎝)で,何と$2.99。約330円(食品には税金なし)で,とても甘かった。店の商品を撮影してネットに載せるのは好ましくないが...値段の証明としてパチリ。

先日,日本のテレビでおいしいスイカの見分け方の特集をやっていた。45センチよりはるかに小さそうなスイカに貼られていた値段は4000円!そうだろうなぁ…子どもの頃,弟の誕生日には2000円のスイカを買っていて,昔から高級品だったから。

 

閑話休題で,カリウムという栄養素の話に戻して...確かにシリアルやヨーグルトの栄養素表示を見ると,必ずカリウムと書いてある。日本ではシリアルはパフェの底の方に敷いてあった「お菓子」で,全く口にしなかった。365日毎朝シリアルという夫や他のアメリカ人を見ていると,いろいろな栄養素が詰まったシリアルのお陰か,体調はよさそうである。準備も片付けも楽だ。お医者さんに,「私はシリアルとか食べないから…」としゅんとして謝ると,「それぞれの民族ににはそれぞれの食べ物があるから,気にしないでそれを食べればいいんだよ」と慰めの言葉をもらった...。これを機に,たまにシリアルも食べるようにしている。 

 

錠剤でしか数値を上げられない栄養素は仕方がないとして,食べ物で摂れるものは薬類に頼りたくない。

 

大きなスイカをしょっちゅう買って近所のアメリカ人の方々にもあげているので,「今年は人生の中で一番スイカを食べた年だった」とか「スイカがあんなに甘くておいしいなんて知らなかった」と言われる。それはその通りかも。というのは真ん中の柔らかくて甘い部分は全部ご近所さん達にあげているから。うちは端っこの三角部分やちょっと色の薄い固い部分を食べる。


8月も残すところあと一日。今年も既に10個は購入したが,あと2つくらいでこの夏は終わるかも。