日本では,本年よりマイナンバー制度がスタート。個人情報の保護について,官公庁だけはなく民間,そして個人にも責任と細心の注意が求められる時代になってきました。
もう10年以上前の話ですが,小学3年生4クラスをバスで社会科見学に連れて行ったときのこと。
みそ工場の見学後,係の方が工場の建物の前で集合写真の撮影をするからとカメラを持って来られました。撮影してどうするのか尋ねたところ,ホームページに掲載すると言うのです。
「他のクラスは担任の判断に任せますが,うちは掲載しないで下さい」と断りました。
こういうことを言う教員は初めてだったのでしょう。係員の方はどうしてなのかが全くわからないという顔をされていました。
そもそも,保護者の許可がありません。不特定多数の人が閲覧できるインターネット上に個人情報を公開するというのです。顔写真を公開すれば,誘拐事件だっておきる可能性もあります。最近は防犯対策として,校外では名札をつけないようにという指導もあっているのです。「~ちゃんだね。お父さんが待っているところに行こう」と知らない人に言われればついて行く子どももいるかもしれません。
実際に,職場で「別れた夫かその知人かが,うちの息子を誘拐に学校に来るかもしれないので渡さないように」と母親からお願いされたことがありました。顔や住所,クラス名などの個人情報がもれないように細心の注意を払いましたが,住居が見つかったらしく深夜に暴力事件に発展。警察が来て,親子は他県に引っ越して行かれました。数か月後に,「何とか落ちついた。お世話になった」と母親から手紙がありましたが,本当に悲しい出来事でした。
学校には実にいろいろな家庭環境の子どもが在籍していて,プライバシーは徹底的して保護する必要があります。
みそ工場さんにしてみれば,HPを多くの人が見ることで製品に興味を持ってもらえるという商業的目的があります。見学させて頂きお土産(みそのサンプル)までもらったのだから,ギブ&テイクだという考え方もあるでしょう。しかし,それとこれは別だという断固とした態度であるべきです。人権と商品は別物です。
子ども達も,無邪気に「タダで自分の顔写真が載った」とか「いい思い出になった」と嬉しいかもしれません。逆に,掲載されないことで「何故うちのクラスだけ載らないの?」という疑問や「~先生はケチだ」という批判も子ども達の心にあったでしょうが,お預かりしている子どもの人権・生命が最優先です。
「アムネスティ・インターナショナル」について知ったのは,日本で教員をしていた頃でした。当時,校内で平和や人権についての仕事を担当しており,書店で「子どもによる子どものための『子どもの権利条約』」という本を見つけました。子どもの目線で書かれたこの条約文ですが,原書(英文)・日本語訳,さらに解説もついています。ここには,宣言ではなく条約になったと書かれています。
「基本的人権など当たり前のことが書かれているので,読まなくてもいい。知っている」と思うでしょうが,実際行動できているかといえばそうでもないのです。子どもを甘やかすことと人権を守ることももちろん違いますので,やはりきちんと知っておくことが大事です。
うちでは,アムネスティインターナショナルから資料が届くので,主人と人権について話すことがあります。テレビや新聞などでは絶対に報道されない,タブーとされているような実態の数々…。
先日の記事では,夏のブラジルでのオリンピック開催のための工事などによる国別の死傷者数のグラフが載っていて衝撃的でした…人を人として扱わない国が,確かに存在するのです。
シリアの難民の子ども達へもここから支援がいくと信じて,寄付をしています。
個人情報保護について敏感に反応している人も多い一方,自ら個人情報を不特定多数の人向けに流す人も大勢いるのも事実。自分の顔や名前はふせるのに,家族や友人らの顔や名前をネット上に載せる人も多数います。逆ならわかるのですが…。書いている自分の顔や名前掲載は本人(大人)の責任ですが,やはり家族とはいえ,人権のある一個人。
もちろん,大切な人や楽しい思い出の一コマを載せたいという気持ち,ビジネス上名前や顔を載せる必要があるのはわかります。
日本では乳幼児虐待のニュースが多く,警察も深くは関与しない。そして最悪の事態を招く。人権などは,家族の判断にゆだねられている…日本には子どもは親の一部という考えが残っています。
日本は平和だからか,ネットは全世界を対象としているものという危機感があまりにも少ない。発信している大人がそうならば,子どもはなおさら,ネットの恐ろしさを知りません。
顔・名前・生年月日・学校名,そして住んでいる場所,さらには家の間取りや高級車や高価なジュエリーの保管場所まで画像入りで親切に書いたりしていないか。「明日から家族旅行で10日間留守」等と,まるで泥棒にどうぞと言わんばかりの情報まで知らせていないか。簡単に誰だか特定できるでしょう。犯罪(誘拐・盗難・性的な画像に転用)に巻き込まれるなら,当然大人よりも子どもの方です。掲載されている周りの人も何も言わない(思っていない)のかもしれません…発信している本人が危機感を持たないとどうにもならないでしょうね…。
人間は生まれた時から,主張はできなくても一個人である。
常に心に留めておきたいことです。
時代は,活字から画像,そして動画へと移り代わっています。子どもを危険にさらさない,責任のある行動が大人には求められるのです。
もう10年以上前の話ですが,小学3年生4クラスをバスで社会科見学に連れて行ったときのこと。
みそ工場の見学後,係の方が工場の建物の前で集合写真の撮影をするからとカメラを持って来られました。撮影してどうするのか尋ねたところ,ホームページに掲載すると言うのです。
「他のクラスは担任の判断に任せますが,うちは掲載しないで下さい」と断りました。
こういうことを言う教員は初めてだったのでしょう。係員の方はどうしてなのかが全くわからないという顔をされていました。
そもそも,保護者の許可がありません。不特定多数の人が閲覧できるインターネット上に個人情報を公開するというのです。顔写真を公開すれば,誘拐事件だっておきる可能性もあります。最近は防犯対策として,校外では名札をつけないようにという指導もあっているのです。「~ちゃんだね。お父さんが待っているところに行こう」と知らない人に言われればついて行く子どももいるかもしれません。
実際に,職場で「別れた夫かその知人かが,うちの息子を誘拐に学校に来るかもしれないので渡さないように」と母親からお願いされたことがありました。顔や住所,クラス名などの個人情報がもれないように細心の注意を払いましたが,住居が見つかったらしく深夜に暴力事件に発展。警察が来て,親子は他県に引っ越して行かれました。数か月後に,「何とか落ちついた。お世話になった」と母親から手紙がありましたが,本当に悲しい出来事でした。
学校には実にいろいろな家庭環境の子どもが在籍していて,プライバシーは徹底的して保護する必要があります。
みそ工場さんにしてみれば,HPを多くの人が見ることで製品に興味を持ってもらえるという商業的目的があります。見学させて頂きお土産(みそのサンプル)までもらったのだから,ギブ&テイクだという考え方もあるでしょう。しかし,それとこれは別だという断固とした態度であるべきです。人権と商品は別物です。
子ども達も,無邪気に「タダで自分の顔写真が載った」とか「いい思い出になった」と嬉しいかもしれません。逆に,掲載されないことで「何故うちのクラスだけ載らないの?」という疑問や「~先生はケチだ」という批判も子ども達の心にあったでしょうが,お預かりしている子どもの人権・生命が最優先です。
「アムネスティ・インターナショナル」について知ったのは,日本で教員をしていた頃でした。当時,校内で平和や人権についての仕事を担当しており,書店で「子どもによる子どものための『子どもの権利条約』」という本を見つけました。子どもの目線で書かれたこの条約文ですが,原書(英文)・日本語訳,さらに解説もついています。ここには,宣言ではなく条約になったと書かれています。
「基本的人権など当たり前のことが書かれているので,読まなくてもいい。知っている」と思うでしょうが,実際行動できているかといえばそうでもないのです。子どもを甘やかすことと人権を守ることももちろん違いますので,やはりきちんと知っておくことが大事です。
うちでは,アムネスティインターナショナルから資料が届くので,主人と人権について話すことがあります。テレビや新聞などでは絶対に報道されない,タブーとされているような実態の数々…。
先日の記事では,夏のブラジルでのオリンピック開催のための工事などによる国別の死傷者数のグラフが載っていて衝撃的でした…人を人として扱わない国が,確かに存在するのです。
シリアの難民の子ども達へもここから支援がいくと信じて,寄付をしています。
個人情報保護について敏感に反応している人も多い一方,自ら個人情報を不特定多数の人向けに流す人も大勢いるのも事実。自分の顔や名前はふせるのに,家族や友人らの顔や名前をネット上に載せる人も多数います。逆ならわかるのですが…。書いている自分の顔や名前掲載は本人(大人)の責任ですが,やはり家族とはいえ,人権のある一個人。
もちろん,大切な人や楽しい思い出の一コマを載せたいという気持ち,ビジネス上名前や顔を載せる必要があるのはわかります。
日本では乳幼児虐待のニュースが多く,警察も深くは関与しない。そして最悪の事態を招く。人権などは,家族の判断にゆだねられている…日本には子どもは親の一部という考えが残っています。
日本は平和だからか,ネットは全世界を対象としているものという危機感があまりにも少ない。発信している大人がそうならば,子どもはなおさら,ネットの恐ろしさを知りません。
顔・名前・生年月日・学校名,そして住んでいる場所,さらには家の間取りや高級車や高価なジュエリーの保管場所まで画像入りで親切に書いたりしていないか。「明日から家族旅行で10日間留守」等と,まるで泥棒にどうぞと言わんばかりの情報まで知らせていないか。簡単に誰だか特定できるでしょう。犯罪(誘拐・盗難・性的な画像に転用)に巻き込まれるなら,当然大人よりも子どもの方です。掲載されている周りの人も何も言わない(思っていない)のかもしれません…発信している本人が危機感を持たないとどうにもならないでしょうね…。
人間は生まれた時から,主張はできなくても一個人である。
常に心に留めておきたいことです。
時代は,活字から画像,そして動画へと移り代わっています。子どもを危険にさらさない,責任のある行動が大人には求められるのです。