もう何年も前のことですが,土曜学校の1年生で行事の後に作文を書くために「見たこと」や「聞いたこと」を各自でプリントにまとめていた時のこと。

「『思ったこと』には,何て書こう…?」と悩むAちゃんに,隣の席のB君のアドバイスは「簡単!『楽しかった』って書いておけばいいんだよ!」でした。

絶句しましたが…大変正直で,恐らくこれが実態なのです。

Aちゃんが楽しかったかどうかは問題ではなく,「楽しかったです」で作文をまとめればとりあえず形になる。また,読み手である親や教師がそれ以上のことを追究することもなく,安心することも多分わかっているのですね。

「思ったこと」という欄を設けるかどうかについては,プリントを作成する際にしばらく考えましたが,やはり外しておくべきでした。安易な「楽しかった」という最後の言葉が,よい作文をダメにしてしまうからです。中には,「きつかったです」の後に「楽しかったです」と続いているものもあって,もはや〆の決まり文句になっているのか…?

言葉や行動の描写で感情が表現できるような指導は,1年生の段階から必要なのです。この話はまた今度します。

そもそも,学校が学びの場である以上は「楽しい」という感情だけでは不十分で,もう一歩踏み込んだ「成長を実感するもの」が欲しいところです。楽しいだけなら,ゲームやマンガ本と変わらぬ感想ですから。

私たち大人も何かのイベントの終わりに感想を求められたときなど,“I enjoyed it!”や“It was fun!”と答えていると思います。小学1年生と変わらない感想です…。せめてもう少し具体的に「~だから(~の点が)楽しかった」,さらには学んだこと(自分の成長)を伝えるようにしていけば,お子さんにもいい影響がありますし,知的な満足感が得られると思います。

別の土曜学校の中学年では,作文を書くと言うや否や「知っている!最初のマスは一字空ける!」や「カギかっこの下には何も書かない!」と言った発言が次々と出ました。内容ではなく,形式を整えることが作文だとほとんどの子が思い込んでいました。

形は後からいくらでも整います。何はさておき,中身なのです。何故中身の書き方を教えずに,学校では形式を教えるのかというと…形式を教える方が簡単だからです!

先日読んだ本に,「おもしろいことを言える人はおもしろいことが書ける人だ」にありました。おもしろいことというのは,冗談やダジャレも入りますが,「おもしろい視点からものごとをとらえることができること」だと思います。

続きはまた次回に。