山崎賢人×門脇麦、キス連発に初めは嫌悪感!? 『トドメの接吻』連続物語形式で高評価

"キス"連発の一見キワモノ・ドラマが日本テレビの『トドメの接吻』。 
No.1ホストの主人公・堂島旺太郎(源氏名エイト)役を演じる山崎賢人が、門脇麦とキスをするたびに7日前にタイムワープする物語だ。何ともエロ激しい展開が続くが、実はストーリーテリングとして良く練られている。その結果、初めは嫌悪感を抱いた視聴者が続出したが、5話まで進むうちに高く評価する人が急増した。今クールのGP帯(夜7~11時)ドラマの中でも、最もユニークな存在になっている。 

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1月ドラマの満足度比較


■一話完結型vs.連続物語 

今クールの高視聴率ドラマは、軒並み一話完結型でかつ問題解決型となっている。 
視聴率1位は『99.9-刑事専門弁護士-』。毎話一つの訴訟に決着がつく。2位『BG~身辺警護人~』は、民間警備会社のBGたちが、毎話一つの依頼を全うする物語。そして3位『アンナチュラル』は、法医学者が毎話死因を追究する中で事件が解決していく。 
こうしたドラマが高視聴率となりがちなのは、"毎話似た展開で最後に無事解決"することの安心感がある。また、1~2話見逃しても次に戻って来やすい手軽さがある。

いっぽう連続の物語となっているドラマは、今クールでは一桁続出となっている。 
『トドメの接吻』『anone』『隣の家族は青く見える』『きみが心に棲みついた』『海月姫』などである。連続性のある物語なため、「じっくり見たい」「見逃したくない」などの思いから、録画再生にまわりやすくリアルタイム視聴率に反映されにくい。 

ところがデータニュース社「テレビウォッチャー」が調べる満足度で見ると、面白い現象が見えてくる。 
『99.9』『アンナチュラル』は、松本潤や石原さとみの人気と脚本の出来の良さにより、視聴率だけでなく満足度も高い。『BG』については、木村拓哉に対する反発もあり、視聴率ほどは満足度が高くない。それでも3作とも満足度の値は安定しており、質量ともに支持されたドラマであることがわかる。 

いっぽう連続物語のドラマには、面白い傾向がある。 
『海月姫』『トドメの接吻』『anone』『きみが心に棲みついた』などは、当初の満足度が極端に低い。いずれも普通でない人々や状況を前提にしているため、取っつきにくいと感じた視聴者が少なくなかったようだ。それでも回を追うごとに満足度の値は上昇している。中でも『トドメの接吻』は、5話で『99.9』や『アンナチュラル』と肩を並べるまでに高くなっていた。 
エンジンが温まるのに少々時間がかかっているが、数話を経てようやく視聴者の心を捉えている様子が分かる。 


ドラマ序盤では、No.1ホスト役の山崎賢人が、偽りの愛で女性を夢中にさせ、金が尽きたらポイ捨てするゲス&クズ男として振る舞った。これらへの反発は少なくなかったようだ。 
しかも7日間のタイムリープを何度も繰り返すために、展開が難解で脱落した視聴者もいたようだ。 
こうしたエロ激しい展開の中に、実は純粋な動機が隠され、当初の思いをいちずに達成しようとする山崎賢人の姿に、次第に応援の気持ちを強くした視聴者が少なくなかったようだ。 
これこそ連続物語の真骨頂といえよう。 
一度脱落してしまった人も改めて6話を見直すと、同ドラマの独創性とハート部分の温かさを再認識するのではないだろうか。 
制作陣みずから"邪道ラブストーリー"と言っているので分かりにくいが、実は"善悪は糾える縄の如し"という言葉がある通り、邪道ゆえにラブの崇高さが見えるようにできている。ぜひ堪能していただきたい。