面談の翌日

いよいよ 訪問先生がやってきた

我が家の為に 忙しい時間を割いて トリオでやってきた(当初2名の予定だった)

先生の話は 母親さんに向けてから始まった

「昨日ね お嬢さんに来ていただいて 僕らにここで診察して欲しいと言う気持ちをいろいろ聞きました。 お母さんはどう思う?」

いきなり どう思うなんて言われても・・・ って感じなんだろーと思ったけど

たどたどしく話し出した

「やっぱり 最後まで ここにいたいと 思います」

「それは何で?」

「・・・・・」

そりゃ何で? と言われても・・・ って感じだろう

「でもやっぱり どこでもいいかなって思います」

とか言い出す

「どこでもいいかなってのは 病院に入院してもいいかなってこと?」

「はい」

えーーーーー

「それは何で?」

「娘は仕事をしていて 養ってもらっていて 病院のお金(医療費)も たくさん助けてもらって 私が家に居て たくさん休まなきゃならなくなって 会社の人に迷惑かけて 居れなくなったり 首になったら この先も 娘は 仕事していかなきゃいけないし」

とかって 言い出した

「じゃあもし 娘さんが 仕事も首にならないように休めて この先も問題ないようだったら できれば家に居たいと言う事ね?」

「ハイ」

だいぶ端折ったけど この答えが出るまでに 20分くらいかかったかね

昨日のワシもそうだったけど 深層心理として 自ら、こうしたいんだ!と言う気持ちを

聞き出す為に いろいろ質問 するみたい

母娘 二人の意見が 合致した今夜 先生方は 全力でサポートすることを約束してくれた

ただ 彼らは 訪問緩和ケアチーム

決して 治療を行うわけではないこと これから起こりえる悲しい別れが そう遠くないことを

ダイレクトに伝えてくる

そして 理解しているのかを求めると言う 残酷な仕打ち

「正直ね 解ってはいるんです。 でも ずっと見ないようにしてきた と言うか・・・ ここ最近で急に体が思うように行かなくなって もうそろそろかなって。 でもそれでも現実逃避と言うか・・・」

打ち合わせもしないのに 昨日のワシと 全く同じ事を言った母親さん

やっぱりそうだよね すごく すごく 解ってる

「これから過ごしていく中で 状況はもっと 悪くなると思う 思うようにお話できなくなってくる 最後にやりたいことはあるの? 誰かに会っておきたいとか」

「いっぱいあります! でも 間に合わないかなって いずれ 元気になったらやろうって思ってたから。 それが こんなに急に 悪くなってしまったもんだから・・・」

と 繰り返す

考えれば 2週間前までは 歩いていた母親さん

10日前までは ベットサイドに用意した食事を 自ら取ってた母親さん

そんな数日で 現実を受け止められるわけは無いんだよね

「それじゃあね 娘さんに言っておきたいことはあるの?お話できるうちに 言っておいたら?」

「娘はね 私が死んだら 生きて行けない と言うんです でも 一人でも 頑張って 仕事して生きていって欲しい」

「娘さん そう言ってるけど?」 

いきなり振られて 泣きまくってたワシは 鼻をかんだ

「この先ママが 居なくなっても 頑張ってやっていきます」と

みんなの前で 約束させられた

それから ケアの方向性 計測等を済ませ 明日から 毎日入ると言って

去っていく先生トリオを お送りする際 怖かったけど聞いてみた

「「とりあえずの一週間 経過を見る その間娘さんも休める?」って事はそれくらいの時期と言うことですか?」

「そうだね」

先生が帰られた後も あのドラマのワンシーンのような時間が

頭の中で くるくる 回っていた

それでもまだ もうちょい行けちゃうような気がして

やっぱり 準備なんて できないのです