小次郎。
あなたが旅立ってもう何年になるんだろう。
テレビで猫ちゃんが映る度に小次郎の事を思い出すよ。
シャム猫だけど、丸顔で少しふっくらしてた小次郎。
寝るときは必ず同じ布団に入ってきて、腕枕で寝てた。
大好きな小次郎。

最後まで守ってあげれなくてごめんね。
病気だったのは明らかだったのに、あたしが子供だったばかりに病院へ連れていく手段さえなかった。

母にお願いしても無理としか答えが帰ってこなくて、ただただあなたを抱きしめるしかできなかった。

あまりにも無力な自分に情けなくて悔しくて。

今も後悔して時々泣いてしまう。

母の出した結論は保健所に連れていこう。だった。
病院は!?なんで!?
そう訴えても、明らかに手遅れの状態な小次郎に母は仕方が無いやんか。と。

姉夫婦が車で連れていくことになった。

小次郎に付けてた赤くて可愛い首輪。
それを外して抱きしめた。

助けてあげれないことを悔やんで、後悔して、もっと自分が大人だったらと自分自身を恨んで。

泣きまくるあたしを小次郎は見つめて、小さく「にゃぁ」と一言泣いて移動用のケースに収まった。

連れてかないで!そう叫んでも泣きじゃくってるから言葉にもなってなかった。

泣くあたしを母は、もう泣くな!!しゃーないんやから!!!っと怒鳴った。

小次郎……。あたしを恨んでる?
守れなかったあたしを恨んでる?
あたしはあたしを恨んでるよ。
バカで非力で無力なあたしを物凄く恨んでる。
小次郎……。あたしね、また猫を飼いたいんよ。今度は最後まで一緒にいたいの。あなたを守れなかった分、一生懸命守りたい。

いつか猫を迎え入れることが出来たら、あなたの分まで今度こそ守り抜くから。

小次郎……
会いたいなぁ……。