肩を叩いて起こされた。
『ひとみちゃん。ひとみちゃん』
聞きなれた声。
『えっ？？』
私は飛び起きた。
そこにはやはり
見慣れた笑顔があった。
『おばあちゃん。おばあちゃんだ。どうしたの？迎えに来てくれたの？』
手を握る。
暖かい。
抱きついて喜んだ。
懐かしいおばあちゃんの匂いがする。
本物だ！！
夢じゃないんだ！！
おばあちゃんは笑って
『違うょ。今日はね。さよならを言いに来たんだょ』
『うそ、、、折角また会えたのに。ちょっとまって！お母様も起こそう！みんな起こそう！みんな会いたがってる』
晩年、足を悪くしていた祖母が
私と手を握り母の寝室に向かった。
スタスタ歩いてる！
足も治ったんだね！！
『お母様、お母様！起きて！！おばあちゃんが帰ってきたょ！』
母は眠い目をこすり一生懸命目を凝らす。
最初は見えていないようで
『なに、、、なに、、、』
と不思議顔。
でもだんだん目が開いてきた。
私と母はおばあちゃんの手をとり
妹、2人と
最後に兄を起こした。
それぞれに寝ぼけ顏でムニャムニャ。
そのうち
みんな目が覚めて
再会を笑顔で喜びあった。
何しろおばあちゃんが元気で
笑顔な事が嬉しかった。
しばらくすると
遠くから
リン、リン、リン、リン
って鈴の様な音が聞こえてきて
だんだんと近づいてきた
何処から聞こえてくるか
探していると
それはおばあちゃんが手に持った
頭にベルがついた目覚まし時計から
聞こえていた。
もう一度、おばあちゃんに目をやると
おばあちゃんは小さい子供のような姿を
して笑顔でこう言った。
『さぁ、、もう行くね。さよならだょ』
私は悲しくて悲しくて、、、、
ふいに目を開けると
そこは現実の世界。
南国に降る雨がめずらしくザァザァと音をたて屋根を叩き部屋に響いていた。
一瞬なにが起こったのかわからずに
涙が流れては落ち流れては落ち
胸が締め付けられて痛くて痛くて
たまらなかった。
横に寝ていた相方さんも
流石に目を覚まして
『どうしたの！大丈夫？？』
と目を丸くしていたけれど
私は何も考えずに涙を流しながら
こう言った。
『ひでくん、月島のおばあちゃん、さよならだって、、、生まれかわって何処かにいっちゃったんだょ。さよならだって、、、』
しばらく涙は止まらずに
溢れては落ち
溢れては落ち、、、、。
胸が締め付けられた。
私は多くの日本人がそうであるように
無宗教な人間で
正月には神社へ行き
葬式や法事ではお寺で拝み
結婚式は教会であげ
クリスマスを祝う
なので輪廻転生などという
宗教用語や信念を信じている
訳でもない。
ただ
自然や大地、
生きとし生きるもの全てには
魂が宿っていることは感じている。
おばあちゃん。
おばあちゃんの魂は
生まれ変わったのかな？
それは生まれ変わってでも
もう一度会いたいという
私の願望がみせた夢なのかな？
でも、とってもリアルな
優しい懐かしい温もりを感じたょ。
おばあちゃんの魂は
私やチャーちゃんの中で
生きていることは
重々承知しているけれど
もしも今、何処かで生まれ変わって
いるのなら、、、
どうか幸せに。
おばあちゃんのことだから
絶対意地でも幸せになるんだろうけれど
そして
やっぱり
いつか
また会いたいね。
ううん。
いつか絶対また会おうね！
いつか会える日がくるまで
私はおばあちゃんに恥ずかしくないように
一生懸命、自分なりに頑張るょ！
そしたらまたおこたでさ。
お茶を飲み飲み私の話を聞いてょね。
Hitomi♡