小学校1年生の時、サッカー少年団に入団した。
理由はなんてことない。「仲のいい友達が入ってたから」
土日とかの休みの日に「今日遊べる？」って電話しても、「ごめん今日サッカーの練習だから」といって断られた。
ただ友達と一緒にいたかった。
別にサッカーが好きなわけじゃなかった。
たった13人しかいないチームで、俺はベンチだった。11/13にも入れない男だった。
でも別にサッカーは好きじゃないからどうでもよかった。
逆に土日のほとんどがサッカーでつぶれるのがすごく嫌になった。
でも「やめたい」って言うと怒られるから。だから続けたんだ。
小学校4年の時、GK(ゴールキーパー)がすごくかっこ良く見えて、やりたくなった。
GKでもないのに、GK用のグローブを買ってもらって、練習の時の休憩中とかに遊びでGKをやってた。
試合ではベンチ→ラスト5分だけディフェンスで出場。(監督の情けというか、せっかく試合まで来てるのに出させてくれないってのは可哀想って感じで。)
小学校6年の時、GKの子がケガをして
、初めて俺がGKとして試合に出させてもらった。
初めてGKとして出た試合は今でも覚えてる。0-4のボロ負け。
悔しかった。
今までは「別にサッカーなんて・・・」って思ってたから負けてもなんでもなかったけど、自分が好きでやったGKなのに、点を取られるのはメチャクチャ悔しかった。
その後は練習のかいあってか、レギュラーGKとして試合に出れるようになった。
そこからはサッカーが楽しくてしょうがなかった。市の選抜チームにも呼ばれた事もあった。
GKをはじめてから一気に世界が広がったのを覚えてる。
でも中学にあがって、クラブチームに入ってからはずっと劣等感に悩まされるようになった。
Jリーグのジュビロ磐田の下部組織の中学生チームに入ったんだけど、周りのレベルがすごく高かった。
いっこ年下のGKの方が、ハッキリいって俺よりうまかった。
年下の相手とレギュラー争いをしてるなんて、自分はなんて下手くそなんだろうと。
そんな中、ギターを始めた。
同じクラスの大ちゃんに誘われて。
とにかく楽しかった。
ただギターから音が出る。
CDと同じように演奏できる。
ハモれる。
一つ一つがメチャクチャ楽しかったよ。
そしてその演奏を聞いてもらいたくて、初めてステージに立ったのが中学3年の文化祭。
へたくそなギターと下手くそな歌。
それでもなんだか自分がヒーローになれたような気がして。
高校にあがってすぐぐらいにサッカーはやめた。
どうしてもサッカーよりも路上ライブがやりたかった。
路上ライブで俺らの歌を聴いた人が立ち止まってくれる。
俺らの歌で勇気をもらったって言ってくれる。
なんだか本当にヒーローになったみたいじゃん。これ。
そういえばサッカーでGKをやってたときもそうだった。
俺はヒーローになりたかったんだ。
味方の絶体絶命のピンチをファインセーブで救う。
そんなヒーローに憧れてたんだ。
ハッキリいって天狗になってたと思う。
地元沼津での路上ライブでは敵なしだと思ってたし、東京にいっても通用すると、なんの根拠もなく信じてた。
そして大学進学と共に東京でライブをするようになる。
甘かった。
コテンパンにされたよ。
どれだけ自分たちが井の中の蛙だったか思い知らされたよ。
演奏のレベルも、歌のうまさも、オリジナル曲のクオリティも、てんで通用しねぇ。
それでもなんとかなるはずって2年くらいライブは続けてたけど、ここで個人的にショックな事が。
ライブハウスに出演するも、COCOA動員人数0人。
まわりのバンドがすっごく華やかに見えてさ。
この時、はじめて本気で音楽やめようと思ったよ。
意地とか見栄とか全部すてて、楽になれたらなーって。
でも結局やめられなかった。
音楽が好きだからとか、応援してくれるみんながいるからとか、そんなかっこいい理由じゃないよ。
ただ、「やめる勇気」すらなかった。
自分で自分が情けなくて、家に帰ってから本気で泣いた事を覚えてる。
泣くだけ泣いたら、なんかスッキリした。
下手くそなんだからしょうがない。
ライブに人を呼びたけりゃ、自分達がスキルアップするしかない。
すっごく当たり前の事なんだけど、その当たり前の事が大事なわけで。
そのうち、こんな下手くそな俺らの歌でも、好きだと言ってくれる人が増えてきた。
うれしかった。
当たり前だよ。
好きだって言われて嫌なやつなんていないと思うし。
でも同時に申し訳ないんだよ。
俺は自分がギターがうまいとか、歌がうまいなんてひとかけらも思ってない。
もし俺がつまらない演奏や歌を唄ったら、それを好きだと言ってくれるみんなを裏切るような気持ちになるんだ。
このままじゃダメだろ。
応援してくれるみんなの為にも、もっとうまく、もっと魅力的なアーティストにならなきゃ。
そう、応援してくれるみんなにとっての、俺はヒーローになりたいんだ。
これが今の俺の音楽を支えるモノ。
綺麗事だよな。
でも本当にそうなんだよ。
応援してくれる人がいるから、もっとうまく、もっとうまくって思うんだ。
劣等感の塊のような男だけど、大丈夫、まだ唄えるよ。
応援してくれるみんながいるからね。
今日のロードトゥメジャー、みんなのおかげでみごと優勝できたよ！
8月27日には横浜BLITZで決勝だ！
それまでに少しでも大きなヒーローになれるように、また頑張るよ。
かず
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