第1章 ベボガくんの春
とても天気の良い春の日のこと。
ベボガくんは綺麗に咲く満開の桜の木を横目にある所へ向かっていました。
ベボガくんはどうやらなにかを考えてるようです。
向かった先はこの春から通うはずだった学校です。
なんと、一週間前にベボガくんはボールの形をしているからと学校に断られ通えなくなってしまったのです。
なによりも楽しみにしていたベボガくんにとってとても悲しい出来事です。
自分がなぜボールに生まれてきてしまったのだろう。と考えていたのです。
ぼんやり学校を眺めていたベボガくん。
すると、どこからか大きな泣き声が聞こえてきました。
うるさいなぁ。と思いつつ
横目で見ると自分の手の形よりも遥かに大きなバットが泣いていました。三度見しました。ベボガくんは驚きを隠せません。
心の中で叫びました。
「え?バット...!?」
ベボガくんは恐る恐るその大きなバットに声を掛けました。
「なぜ泣いているの?君の名前は?」
バットは言いました。
「悲しいんだ。僕の名前はバット。」
ベボガくんは思いました。
「そのまんまの名前だな」と。
ベボガくんは聞きました。
「バットくんはどうして悲しいの?」
バットくんは学校の方を向き、涙を流しながら答えました。
「学校に行きたいのに行けないんだ。バットの形をしているから。」
ベボガくんはボソッと言いました。
「可哀想に。」
ベボガくんはハッと我に返りました。
僕とバットくんは体がボールとバットの形をしているせいで学校に通えない同じ境遇にいるではないか...。
ベボガくんはなんだか嬉しくなり、バットくんと仲良くなれそうなのでお家に遊びにおいでよと誘いました。
お家に行くか、バットくんは少し悩みました。
バットくんはボールの形をしたものが苦手なのです。なぜなら、とても打ちたくなる衝動に駆られてしまうからです。
ボールの形のベボガくんといるだけで心が高まってしまいベボガくんのことを打ちたくなるのです。
ベボガくんの押しに負けてお家に遊びに行くことになってしまいました。
ベボガくんのお父さんは笑顔でバットくんを迎えてくれました。
つづく